人生の半分をスピッツと共に過ごしてきたライターによる、今の気分での楽曲ランキングです。
ランキングの基準は…「やっぱり好きだなぁ」。
どの曲も大好きで、何回も、何回も聴いてきた上で
ふと考えたときに「やっぱり、良い曲だなぁ」と思ったものを10曲厳選してみました。
今回はシングル曲が中心です。
番外編 チェリー
スピッツの楽曲ランキングで、必ず目にするのが「チェリー」。
言わずと知れた代表曲ですね。
「スピッツ」というバンドをイマイチ知らないという方でも「チェリーは知ってる」という人は多いと思います。
「スピッツ?チェリーの人でしょ??」というくらいには。
同バンドで上位の売り上げ枚数を誇り、知名度だけでなく、セールス面でも記録的な一曲です。
王道感のあるコード進行、誰もが口ずさめる美しいメロディー。
キャッチーでいて、深みのある歌詞…
これぞ、日本人のためのポップス…まさに、J-POP。
取っ付きやすく馴染み深い曲ですが、リズムの取り方であったり、言葉が紡ぐ世界観であったり
案外一筋縄ではいかないところも魅力のひとつ。
スピッツの楽曲…というか、名曲というのは聴けば聴くほど、その「深さ」に気づけるものです。
やっぱり名曲ですよ、チェリーは。
しかし、今回のランキングでは、TOP10に入りませんでした(他人事)。
カラオケの定番、ギター弾き語りの定番…とJ-POP史に残る大名曲なわけですが、
正直今は、あんまりピンと来ていません
おそらく、聴きすぎたんでしょうね…
ただ、自分の中でのブームはコロコロ変わるので、「やっぱりチェリー最高!」となる日もそう遠くないように思います。
いや、ひょっとすると…
「ベタ過ぎる」と、心のどこかでサブカルオタク意識に囚われているのかもしれません…
そんな希代の名曲「チェリー」を抑えてTOP10に選ばれたのは一体どの曲なのか?!
最後まで、ご覧いただけると光栄です。
10位 スターゲイザー
まずは、この曲。
2004年にリリースされた、28thシングル。
25thシングルおよび、2002年のアルバム『三日月ロック』制作から続くプロデューサー・亀田誠治とのタッグも板についてきた感じがします。
90年代のスピッツとは、大きく異なるサウンドの性質。
非常にクリアでハード。
スタイリッシュなサウンドが、クールな印象のこの楽曲とよくマッチしています。
とりわけドラムとベースが特徴的ですよね。高圧的で鋭い感じ。
楽曲の中身としては…
まず、草野さんの弾き語りで始まる、この歌い出しが良いですよね。
歌ももちろんですが、アコギが非常に魅力的。
草野さんのアコギ…いいですよね。
ライブの「楓」や、「運命の人」など…彼の生き生きとしたギターが好きです。
弾き語りの導入も好きですが、もっと好きなのが…このあとのバンドが加わるところ。
前奏(イントロ)というかね。
このブログでも何度か取り上げたことがあるのですが、私はリズム隊が途中で加わる楽曲が好きです。
スピッツの曲でいくと、「猫ちぐら」とか「僕のギター」とかです。
一気に盛り上がる感じがして、良いですよね。高まります。
9位 春の歌
2005年リリースの30thシングル。
楽曲としては、同年のアルバム『スーベニア』が初出。
「アクエリアス」のCMでの起用が決まり、シングルカットされた経緯があります。
その後もロッテ「ガーナチョコレート」のCMに使われるなど、2000年代にリリースされた楽曲の中でも1,2を争う知名度を誇ります。
私もリアルタイムで初めて聴いたスピッツの曲は「春の歌」だったような気も…
スピッツのブレイク後に生まれた世代にとっては、代表的な楽曲のひとつとも言えるでしょう。
草野さんが奏でるアコースティックギターと、ボリューミーでポップなバンドサウンドがなんとも楽しい一曲。
バンドによる「J-POP」のお手本のような曲…だと思っています。
この辺はヒットメーカー・亀田誠治のアレンジ力による部分も大きいかもしれません。
屈指のメロディーメーカー・草野マサムネと、スピッツメンバーの演奏、亀田誠治のプロデュース…そのすべてが集結した名曲ですね。
爽快感のあるリズムと、ギターサウンド。そこに乗せた透き通るような歌声。
これぞ、スピッツ。
「春の歌」というシンプルなタイトルが、魅力的。
春の暖かく爽やかな心地が良く似合う、明るいポップミュージックです。
8位 渚
シーケンサーによるサイケデリックなイントロが印象的なナンバー。
1996年リリースの14thシングル、それが「渚」。
シングルとしてはじめてオリコン初登場一位を獲得した楽曲。
『ハチミツ』を経て、人気絶頂期にリリースされた、スピッツの代表曲ですよね。
四つ打ちを基調としたダンサブルなビートとギラギラとしたギターサウンド。
暑い夏にぴったりの楽曲ですね。
エレクトロサウンドを取り入れた、シンプルながらドラマを感じる緻密なアレンジが魅力的。
イントロからアウトロまで、とにかく聴きごたえ抜群!
聴くたびにその深さに気づくことができる、飽きの来ない味わい。
サラッとしているのに、味わい深く満足感がある… そんな感じ。
特にリズム隊が良い。
滑らかで生き生きとしたドラム。タム回しに「夏」を感じます。
そして、途中から加わる力強いベース。ライブで見せるノリの良いハードで躍動的なプレイングがカッコいいんですよね~。
ライブでも頻繁に披露されるファンからも、メンバーからも人気のナンバーです。
この曲が収録されているアルバム『インディゴ地平線』は、プロデューサー・笹路正徳とのタッグ、ラストの作品。
懐かしくも新しい…「笹路スピッツ」の集大成とも言える名作ですね。
7位 愛のことば
アルバム『ハチミツ』に収録されている楽曲。
2014年には、リミックス版が配信限定シングルとしてリリースされました。
ハチミツやルナルナなど明るくポップな雰囲気の楽曲が並ぶ中、異彩を放っているこの曲。
イントロから漂うシリアスなオーラに、思わず聴き入ってしまいます。
歌謡曲チックなメロディーやサウンドと、詩的な歌詞が独特の世界を作り上げています。
どっしりとしたシンプルなビートがむしろ印象的。この時期のスピッツならではの歌謡ロックを感じられます。
やっぱり、イントロが良い。
リズム隊が刻むヘビーなビートに乗せた、哀愁漂う寂しげなアルペジオが心地よくも、少しだけ心をざわつかせます。
一曲通して、クールで淡々としているけれど、情熱も感じられる歌や演奏。
壮大でありながら、素朴な耳ざわり…
本当に、聴けば聴くほど不思議な魅力にあふれた曲だなぁ。
アルバム曲でありながらMVが作られていたり(MVも素敵)、リリースから20年近く経ってシングルカットされたり、ちょっと特別な位置づけの楽曲ですね。
ファンからの人気も厚い、名曲です。
6位 夜を駆ける
さて、6位はまさかのアルバム曲からの選出。
2002年リリース『三日月ロック』より、「夜を駆ける」。
これを選んだことに異論を唱えるスピッツファンはおそらくいないのではなんて思います。
人気のアルバムですよね、三日月ロック。
スピッツのアルバムから1枚選ぶとしたら コレを選ぶという方も少なくないのかな、という気もしますね。
ロックなテイストが素晴らしい。
前作『ハヤブサ』もロックなテイストでかなり尖っていましたが、あの作品はわりとスピッツ史において「異端」な印象なんですよ。
プロデューサーに石田ショーキチを迎えて「ちょっと新しいことやってみました」みたいな。
一方、『三日月ロック』も亀田誠治をプロデューサーに迎えた初のアルバムなのですが、こっちは「ニュースタンダード」を感じさせる内容。
ここからスピッツの第二幕が始まるな、というね。
その通り、本作を皮切りに亀田誠治とのタッグが続いていくことになるのです。
そういう意味でも非常に重要なアルバムですね。
さて、そんな名盤から「夜を駆ける」をセレクト。
やっぱりこの曲で幕開けすることに意味があると思うんですよ。
シリアスで、グッと引き込まれる感じ。
2000年代以降のスピッツは、ロックさとポップさを両立しつつ、新たに「クール」というキャラクターが加わった印象があります。
草野さんの持つ乾いた少し冷たい声と、張り詰めたようなサウンドメイク。
「さらさら」や「紫の夜を越えて」など、近年(?)ではシングル曲にも顕著に取り入れられるようになりましたね。
この系譜の発端、ルーツとも言えるのがこの「夜を駆ける」および、『三日月ロック』なのだと思います。
近年の楽曲からスピッツに興味を持ったという方には、是非聴いていただきたい一曲です。
5位 空も飛べるはず
5位に選んだのは、「空も飛べるはず」。
言わずと知れた代表曲ですね。
スピッツのことをあまり知らないという方でも、この曲は知っている人が多いのではないでしょうか?
「スピッツ??…あぁ、この曲歌ってる人達ね」という感じ。
ドラマ「白線流し」の主題歌にも選ばれ、そこから知ったという人も多いはず。
スピッツがお茶の間みんなの…「国民的バンド」になるきっかけにもなった国民的ポップス。
まさに、J-POP!!
今さらこの曲の何を書くんだ、もうみんな知ってるよ…という感じかもしれませんが、
この曲、あらためてじっくり聴いてみると…とにかくすごい!!
王道感のある伴奏に乗せた、非常にキャッチーなメロディー。
Aメロ、Bメロ、サビ…どこをとってもとにかくキャッチー。
1コーラス最初から最後まで、とにかくすんなりメロディーが入ってくる。
老若男女、誰もが歌える…これこそが「良いメロディー」。
音楽というのは、もちろんメロディーが全てではありません…
が、この「空も飛べるはず」という曲が広く聴かれ愛されるのは間違いなくこのメロディーのおかげだと思います。
そして、そこに乗せたファンタジック、それでいて素朴な歌詞。
難しい言葉を使わない、けど新鮮 …なのに安心感のある世界観。
抽象的だけど、なんとなく伝わって、ことばの一つ一つが頭にスッと入ってくる…そんな言葉選びが光ります。
メロディーがキャッチーだと歌詞も耳に残りやすくなるんですよね。
そんなわけで、J-POP…というか歌謡曲の代表かつ象徴的な一曲でした。
いつ聴いても「良い曲だなぁ」と思うことができる、色褪せない名曲ですね。
4位 スピカ
「空も飛べるはず」や「チェリー」から少しあと、1998年にリリースされた18thシングル『楓/スピカ』。
国民的バンドとなった彼らにとって渾身の一枚となりました。
一般的には「楓」の方が知名度も高く人気ですが、ファンとしてはやっぱり「スピカ」についても語りたい!
初期のサウンドを思わせるサイケデリックなサウンドが、どこかノスタルジックなロックチューン。
シンプルで、ゆったりとしたビートがなんとも心地よい。
そこに乗せたメロディーもとにかくポップで伸びやか。
歌謡曲的な雰囲気をまとっていながら、アレンジやサウンドは結構ロック。
スピッツならではの「ロック歌謡」というか、そういった感じ。
キャッチーさとマニアック性を兼ね備えた音楽性が、良いんですよね。
そして、とにかく歌詞が素晴らしい!
「ですます」口調で語られる、素朴で、どこかフワフワしていて、非常にポジティブなメッセージ。
ことばの一つ一つが心に沁みる、そんな歌。
スピッツらしさ全開でありながら、新鮮さを感じる魅惑の楽曲です。
ちなみにこの曲、椎名林檎さんがカバーしています。
彼女らしいポップでハードなアレンジが光る名カバーです。
3位 楓
ここからはベスト3。
3位に選んだのは、前述「スピカ」と両A面シングルとしてリリースされた「楓」。
スピッツを代表する名バラード。
この曲も、もう言うまでもないといった感じですね。
まず、何が良いかというとタイトルが良い。
「楓」という身近でありながら、独創的なタイトル。
そして、歌詞には一度も「楓」というワードが出てこないんですよね。
にもかかわらず、些細な言葉選びや、描かれる情景が秋風に揺れる楓を思わせる…
淡く、切なく、爽やかで、涼しくて…そんな雰囲気を漂わせています。
アレンジの方はというと、
スピッツの楽曲では珍しく、ピアノが目立つ楽曲です。
しっとりとした、バラード…合唱曲のような美しさがありますね。
実際、合唱で歌ったことがあるという方も居るのではないでしょうか?
CDの音源はもちろん素敵ですが、この曲はとにかくライブバージョンが良い。
代表曲ということもあり、ライブでは頻繁に(ツアーではほぼ必ず?)披露されるこの曲。
クージーが弾くイントロ、伸びやかな歌唱。煌びやかな演奏。
そして、落ちサビの草野さんソロ(弾き語り)。
ステージが暗くなり、ポッと草野さんが照らされ、歌う姿がなんとも神秘的。
この曲をライブで聴くたび、夢の中にいる様な感覚にとらわれてしまいます。
魅惑の楽曲です。
2位 ヒバリのこころ
2位に選んだのは、1991年にリリースされた「ヒバリのこころ」。
デビュー曲ですね。
これぞまさにスピッツの原点。
サウンドやアレンジ面で、現在とは異なる部分も多いですが、メロディーや歌詞の世界観は当時から変わらないものがあります。
また、デビュー前はブルーハーツのような「パンクロック」を主軸としていましたが、後に「フォーク」テイストを取り入れた路線へと変更(「恋のうた」など)。
その中で「ヒバリのこころ」は従来のパンクな要素と歌謡曲的なアプローチ、両方をより引き立てた楽曲となっています。
「パンク歌謡」ともいえるこのスタイルは、現在まで続くスピッツのひとつの軸となっている気がします。
ポップバンドであると同時に、スピッツはしっかりパンクバンドなんですよね~。
「醒めない」や「見っけ」など、近年はより一層パンク色を強めている気がします。
30年以上経ったいま「1987→」「オバケのロックバンド」といったインディーズ時代の楽曲を踏襲した曲が作られるなど、むしろこれがスピッツの本来の姿であるといった印象。
そういった意味合いでも、リリースから30年以上経った今こそ再評価したい楽曲なのです。
ライブバージョンは、オリジナルの音源よりもロックなテイスト。
﨑山さんのハリのある力強いドラムと、三輪さんのギラギラとしたギターが痺れます。
今の彼らが演奏しても全く違和感がないのは、やはりスピッツが変わらない色を持ち続けているということ。
スピッツの変わらぬ魅力を感じられる、大切な一曲です。
1位 ロビンソン
1位はやっぱりこの曲。
1995年リリースの11thシングル「ロビンソン」。
スピッツの代表曲にして、90年代J-POPを象徴する楽曲ですね。
印象的で引き込まれるイントロのフレーズ。
90s感満載なビートに乗せた煌びやかなアルペジオは、ギターの三輪さんが考えたもの。
スピッツといえば、やはりアルペジオ。
三輪さんの繊細かつポップなフレーズは、スピッツの魅力のひとつと言えるでしょうね。
そして、ドラムとベースが織りなす何とも言えないグルーヴ。
90年代の新トレンドである「R&B」的な雰囲気も漂っているんですよね。
フォークやJ-POPという枠では語り切れない、独特なミクスチャーロックに仕上がっています。
そんなバンドサウンドに乗せたボーカルももちろん素晴らしい。
誰もが口ずさめる、ゆったりとしながらもノリの良いメロディーライン。
そして、魅惑的なフレーズが押し寄せる幻想的な歌詞。
スピッツ・草野マサムネならではのラブソングといった具合。
言葉の当てはめ方が気持ちいいのは、彼のポップセンスの賜物でしょう。
「空も飛べるはず」にも言えることですが、
いつ聴いても懐かしい、それでいて色褪せない…なんというか、時代を感じさせないポップソングですよね。
そしてきっと、50年後も、100年後も愛され続けるのでしょう。
スピッツというバンドはもちろん、当時の音楽シーンにとって大きな意味を持つ一曲だと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回紹介したのは、あくまでもスピッツの音楽の一部を切り取ったもの。
このほかにも魅力的な楽曲は、もちろんたくさん存在します。
というか、全部魅力的です。
スピッツの「入口」として相応しい曲ばかりだと思いますので、これからスピッツを聴き始める方は是非参考になさってください。
みなさまの音楽ライフが、より楽しいものになりますように。
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