【聴いて損なし!】個人的J-POP名盤30枚を一挙紹介【名盤の庭000】

名盤紹介

みなさんは、「名盤」と聞いてどのアルバムを思い浮かべますか?

人気アーティストの作品、大ヒットした一枚、長く愛される一枚…

あるいは、はじめて買ったCDやレコード、青春時代にヘビロテしたあのアルバム…

「名盤」と言っても、それは人それぞれだと思います。

私も「名盤の庭」と題し今までに数枚のアルバムを紹介してきましたが、
今後の記事作りの参考にするために、あらためて私の思うJ-POPの「名盤」を30枚選出してみました。

今回は、私が選ぶ30枚を、プチ感想とともに、紹介していきたいと思います。

選出基準

今回30枚を選ぶにあたり、基準のようなものはハッキリ言って定めていません。

とはいえ完全に主観で選出すると、ジャンルが偏ったり、好き嫌いが出てしまうと思いました。

そこで、簡単なルールを設定しました。

①1アーティストから1枚
②シングルではなく、アルバム・ミニアルバム
③ベスト盤やライブアルバムではなく、オリジナルのスタジオアルバム

以上です。

これらのルールに則りエゴをなるべく排除し、マニアック過ぎない「誰もが納得できる」ような選出を心掛けました。

それでは、悩みに悩みぬいた珠玉の30選をお楽しみください!

1.はっぴいえんど『風街ろまん』(1971)

1枚目はコチラ。早速マニアックな気もしますが、まあ間違いないでしょう。

日本の音楽、特にロックを語る上では避けることが出来ないのが「はっぴいえんど」

はっぴいえんどは、大滝詠一、松本隆、細野晴臣、鈴木茂からなるレジェンドバンド。
海外のロックに歌謡やフォークの要素を取り入れた「日本人のためのロック」の先駆け的存在です。

中でも人気のアルバムがこの『風街ろまん』。彼らの代表曲である「風をあつめて」などが収録されています。
「はいからびゅーちふる」や「愛餓を」など遊び心溢れる曲たちも魅力的です。

お気に入りは、A, B各面それぞれの1曲目「抱きしめたい」「夏なんです」
どちらも、アコギによる静かなイントロで始まるのですが、徐々に激しく重くなっていく「抱きしめたい」と、爽やかでポップな「夏なんです」のそれぞれの開幕が印象的です。

B面は、ここから「花いちもんめ」への流れも美しいんですよね

いわゆる「ゆでめん」も名盤ではありますが、どちらか一つを選ぶならやはりコチラでしょう。

ロック好きなら必聴の名盤でしょう。レジェンド・アルバムです。

2.大滝詠一『A LONG VACATION』(1981)

J-POPを語る上で同じく外せないのがコチラ。

元はっぴいえんどの大滝詠一さんの代表作。(…早速ルールに反しているって?)
代表曲「君は天然色」を含め、10曲すべてが名曲中の名曲です。

近年の「シティポップブーム」を機に、国内外で再注目され、まさに「日本」を代表する1枚となりました
本作の40周年を記念して、サブスクも解禁されたのが若者には更に嬉しいですね。

彼のクセのある歌声が紡ぐ耳馴染みの良いメロディー、松本隆さんの鮮明な歌詞、どれをとっても心地よい。

やはり「君は天然色」が語られがちですが、是非ほかの楽曲も聴いて欲しい!!

個人的なオススメは、「Pap-pi-doo-bi-doo-ba物語」
特徴的なイントロから始まるノリの良い楽曲です。独特なリズム感に乗せたキャッチーなメロディーが良い。

日本語詞の中にときどき登場する英語のフレーズがアクセントになっていて、とにかくポップ!
とはいえエキゾチックで、ファンキーなアレンジが渋くて痺れます。

発売当時から、今に至るまで「名盤」と謳われ続ける本作ですが、今後もその座を譲ることは無いでしょう。
まさに、J-POPの名盤です。

こちらも是非ご覧ください!

3.THE BLUE HEARTS『THE BLUE HEARTS』(1987)

「アーティスト名のアルバムは名盤」とはよく言われたものですが、その代表ともいえるのがコチラ。

THE BLUE HEARTS(ザ・ブルーハーツ)は、1987年にデビューした4人組ロックバンドです。
当時のバンドブームの中心的存在で、若者に「パンク」を浸透させました。

「リンダリンダ」や「TRAIN TRAIN」など数多くの名曲を残しましたが1995年に解散。
解散から25年以上経った今でも愛される日本を代表するバンドです。

彼らのアルバムはどれも魅力的ですが、今回は1stアルバムである『THE BLUE HEARTS』を選ばせていただきました。
『STICK OUT』と迷ったのですが…

このアルバムの魅力は、その「勢い」でしょう。
「未来は僕等の手の中」から「リンダリンダ」まで、12曲の流れるような疾走感。

それでいて一曲一曲の味がしっかり出ていてボリューミーなのも素晴らしい。
中でも「ダンス・ナンバー」「君のため」「リンダリンダ」の流れが好きですね。

有名な曲は「盛り上がる曲」が多いのですが、「聴かせる曲」もカッコいいのがブルーハーツ。
彼らはそのバランスが本当に丁度いいんですよね~。

これからブルーハーツを聴く人にも勧めたい一枚です。

※2021年11月にYouTubeチャンネルが開設されました。動くブルーハーツが観れます。嬉しい!

4.スピッツ『ハチミツ』(1995)

4枚目はコチラ!

国民的ロックバンド・スピッツの代表作で、J-POPの最高峰とも謳われる『ハチミツ』

今までスピッツに関する記事をいくつか書いてきた私ですが、ファン目線でもこの作品は「特別な一枚」ですね。
「スピッツと言えば、ハチミツ」というのは全てのファンの共通認識だと思っています。

なんといっても「ロビンソン」が収録されていますからね。
とはいえ、他の楽曲もとにかく素晴らしい!

中でも人気なのは「愛のことば」でしょう。抽象的でありつつもメッセージ性の強い歌詞と、ダークなロックサウンドが痺れます。ファンから絶大な支持を誇る名曲です。

他にも、表題曲「ハチミツ」や「ルナルナ」などの爽やかなギターポップから、「トンガリ’95」「グラスホッパー」などのロックチューン、初期曲を思わせるアンニュイな「あじさい通り」など…

彼らの美しさと、爽やかさと、ダークさ全てを味わえる、非常に贅沢な一枚です。

ロックとポップスの調和、バンドサウンドのシンプル且つ煌びやかなアレンジ…大衆的な印象と、バンドの「個性」が共存しているという、非常に理想的なアルバムだと思います。

楽曲、プロデュース、どれをとっても非の打ちどころが無い、文句なしの名盤でしょう。

5.椎名林檎『無罪モラトリアム』(1999)

大衆性とマニアックさを兼ね備えた、日本を代表するシンガーソングライター・椎名林檎

彼女の代表作と言えば、1stアルバム『無罪モラトリアム』でしょう。

「幸福論」「歌舞伎町の女」「ここでキスして。」という3枚のシングル、そして本作をリリースしたところから、彼女の伝説が始まったと言えるでしょう。

デビュー時10代だった彼女にとっての、世間に対する「自己紹介」のようなアルバムで彼女の音楽を幅広い人に聴いてもらえるような形で制作されたのが特徴です(これに対して2nd『勝訴ストリップ』は彼女らしさ全開で面白いですよね)。

本作は、彼女がデビュー前に書いた曲から成り、統一感よりも、「つめ込んだ感」が目立ちます
アルバムジャケットも相まって、ゴチャっとした印象を受けますが…それが楽しい!

やはり、「正しい街」→「歌舞伎町の女」→「丸の内サディスティック」の開幕が強烈ですね。
「”丸の内”を3曲目に持ってくるんだ!」という印象を受けました。自分なら最初か最後に持ってきてしまいそうです…

不安定で、自由奔放な姿が、若さというか、危うさというか…彼女らしさというか…
どういうわけかとっても魅力的なんですよね~

6.キリンジ『3』(2000)

お次はキリンジから。
先ほどの『無罪モラトリアム』などと並んで2000年前後を代表する一枚です。

キリンジは、その妖艶でディープな、それでいてポップなサウンドと、詩的な歌詞
そして、とにかく難解なアレンジが特徴的な唯一無二の存在ですね。

複雑で理解しがたい…けれども、すんなり耳に入ってくる。不思議で、心地よい音楽です。

彼らの代表曲と言えば、やはり「エイリアンズ」
そしてこの曲が収録されているのが3rdアルバム『3』です。

陽気でポップな1曲目「グッデイ・グッバイ」から、複雑でディープな13曲目の「千年紀末に降る雪は」まで…
本当にハズレが無い!
というか、アタリしかないですね。

中でも好きなのが「アルカディア」ですね。
前2曲の爽やかな雰囲気から、一転してダークで緊張感のある空気に…
ここで一気に、キリンジの世界に引き込まれてしまいます。

キリンジの楽曲、特に本作の収録曲はオーラがありますね。
ボスラッシュのような迫力があります(←例えが下手)。

あとは、ジャケットが良いですね。楽曲同様、オーラがあります。圧巻です。

7.SUGAR BABE『SONGS』(1975)

はっぴいえんどとともに、現在のJ-POPやロックの草分けとなったのがSUGAR BABE(シュガーベイブ)。

SUGAR BABEは、山下達郎、大貫妙子を中心としたバンドです。
大滝詠一や荒井由実とともに「シティポップブーム」を牽引しました。

ポップで馴染みやすい楽曲でありながらも、ファンクやソウルのテイストを取り入れた都会的でオシャレなサウンドが特徴です(まさにシティポップ!!)。

そんなSUGAR BABEの唯一のオリジナルアルバムが、この『SONGS』です。

代表曲「DOWN TOWN」をはじめ、後に山下達郎のベスト盤『OPUS』にも収録された「雨は手のひらにいっぱい」を含む、11曲が収録されています。

歌詞やメロディー、演奏に各メンバーの色が出ていて面白いです。非常にバラエティに富んだ作品だと思います(それでいて統一感もある)。

「DOWN TOWN」を最初に聴いたときの衝撃は今でも忘れられません。あのイントロを聴くとテンションが上がりますね。爽やかで突き抜けるようなサウンドがたまらない!
筒美京平さんなんかは、キャッチーなイントロが特徴的ですが(「また逢う日まで」とか)、達郎さんはスタイリッシュなイントロが魅力だと思います(「SPARKLE」とか)。

歌謡曲やフォークミュージックの馴染みやすさと、異国情緒あふれる新鮮さ…その両方を楽しめるのがこのアルバムです。サブスク解禁が待ち遠しいですが、あまり期待はしていません…

8.荒井由実『COBALT HOUR』(1975)

『SONGS』と同年にリリースされた、シティポップ開拓時代の名盤がコチラ。

荒井由実(現・松任谷由実)といえば、言わずと知れた名シンガーソングライターですよね。
彼女の世界観の虜になる方は老若男女問わず少なくないと思います。

数多くの名曲たちを世に送り続ける彼女。中でも初期の作品は人気があると思います。
今回は、その中から『COBALT HOUR』を選ばせていただきました。
(ひこうき雲とか、14番目の月とかも迷ったんですけどね…)

前2作『ひこうき雲』『MISSLIM』で支持を獲得し、3枚目となる本作。
アーティストによって、自分を出していくのか、受け入れられやすさを優先するのか、結構分かれるところだと思います。

この作品は、よりポップに彼女の魅力を引き出した作品だと思っています。前2作に比べると非常にカラフルです。
アレンジの幅がとにかく広くて、聴いていて楽しいんですよね。

「シティポップ」というジャンルはどうしても洗練されたオシャレなイメージを抱きがちですが、こういうカジュアルなスタイルも良いですよね。

「卒業写真」「ルージュの伝言」など、誰もが知る名曲もあり非常に「愛されるアルバム」という印象です。
ちなみに私は「CHINESE SOUP」が好きです。お茶目なので。

9.YMO『SOLID STATE SURVIVOR』(1979)

SUGAR BABEや荒井由実の登場から少しあと、70年代の終わりに登場し一世を風靡したのがイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)です。

YMOは、細野晴臣(元・はっぴいえんど)、高橋幸宏、坂本龍一からなるグループです。錚々たるメンバーですね
日本で当時発展的だったエレクトロミュージックを広く浸透させ、テクノブームを牽引しました。

また、その人気は日本のみならず、デビュー2年目にワールドツアーを決行。海外で最も有名な日本の音楽グループのひとつだと思います。

そんな彼らの代表作が、今回選出した『SOLID STATE SURVIVOR』

代表曲「TECHNOPOLIS(テクノポリス)」「RYDEEN(ライディーン)」をはじめ、フュージョンや歌謡曲など様々な要素をふんだんに取り入れたスタイル(当時の言葉を用いるなら「テクノポップ」)が光ります。

個人的に注目したいのが、「DAY TRIPPER」です。
THE BEATLESのカヴァーですが、原曲のギターロックと彼らのテクノなアレンジが絡み合っていて面白いです。

シンセサイザーを用いたエキゾチックな楽曲群のインパクトはすさまじく、40年が経った今でもその鮮度が落ちることは勿論ありません。
また、斬新でありながら馴染みやすいのも魅力のひとつ。誰もが楽しむことが出来る、愛すべき名盤です。

10.X『BLUE BLOOD』

日本独自の進化を続け、ジャパニーズカルチャーを支え続けている「ビジュアル系」

その始祖であり、絶大的な人気を誇るのが「X JAPAN」

そんな彼らの代表作と言えば、「X」時代にリリースした『BLUE BLOOD』でしょう。
代表曲「X」「紅」をはじめ、彼らの伝説を彩った名曲たちが収録されています。

バンドサウンドを主軸としながらもオーケストラを取り入れた、優雅で壮大なアレンジも魅力的です。

本作の中なら個人的には『WEEK END』が好きですね。ハードなサウンドでありながら馴染みやすいメロディー。
日本語詞と英詞の絶妙なバランスが美しいですね。

メタルとかハードロックとか、海外色強めな音楽と、日本語のキャッチーな歌詞(しかも聞き取りやすい)が新鮮ですね。

また、本作のジャケットには、彼らのキャッチフレーズであり、「ビジュアル系」という言葉が流行するきっかけになったとも言われる
「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」
の文字が刻まれています。

この作品は、X(X JAPAN)、そしてビジュアル系を代表する一枚であり、同時に日本の音楽シーンにおいて非常に意味のある一枚であるのです。

11.Hi-STANDARD『MAKING THE ROAD』(1999)

日本における、ビジュアル系の始祖が「X」だとすると、メロコアの始祖は「ハイスタ」でしょうか。

ハイスタことHi-STANDARDは、難波章浩、恒岡章、横山健からなる3ピースバンドです。
パンクやハードコアをベースとしたポップ且つロックな楽曲が特徴で、10-FEETやMONGOL800など、2000年代以降のメロコアブームの先駆けとなりました

そんなハイスタが誇る名盤と言えば『MAKING THE ROAD』でしょう。

代表曲「STAY GOLD」をはじめ、魅力的な19曲(隠しトラック除く)が40分という短時間につめ込まれています
その疾走感がたまらない!
1曲1曲が短く、次々と進んで行くわけですが、リフが特徴的でしっかり耳に残るのが良いですね。

前半の王道ラッシュは言わずもがなですが、中盤のカバー曲2つも彼ららしいアレンジが素敵ですね。

そして後半の「TINKERBELL HATES GOATEES」や「MOSH UNDER THE RAINBOW」なんかも面白いですよね
王道で真っ直ぐロックなアルバムでありながら、エンターテインメント性にも優れています。

爽やかで、でも暑苦しい、そしてちょっぴりお茶目なこの一枚。
本作から影響を受けてバンドを始めた…なんて方も少なくないのではないでしょうか?

12.BUMP OF CHICKEN『ユグドラシル』(2004)

ハイスタをはじめとしたメロコアブームとともに、2000年代のロックを象徴する存在・BUMP OF CHICKEN

いまや日本を代表するロックバンドのひとつですね。

バンプのアルバムは『jupiter』とか『COSMONAUT』とか『THE LIVING DEAD』とか、本当に名盤ぞろいですよね…
そんな中から…今回はメジャー2nd『ユグドラシル』を選ばせていただきました。

この作品は、シングル「天体観測」やそれが収録された前作『jupiter』で絶大な支持を得た彼らにとって非常に重要な一枚だったと思います。

大ヒット曲「スノースマイル」「車輪の唄」、ONE PIECE主題歌「sailing day 」など、文句なしの名曲ぞろいだと思います。
中でも「ロストマン」は、数多くのミュージシャンから絶大な支持を得ていますね。
歌詞、そして歌詞の乗せ方、バンドサウンドを主軸とした絶妙なアレンジ…すべてが魅力的です。

前作までと比べるとアレンジの幅がとにかく広く、詞や歌が持つ情緒的な魅力をより立体的なものにしていると感じます。個人的には、本作から「COSMONAUT」あたりまでのアレンジが一番好きです。

イントロ「asgard」から、「オンリーロンリーグローリー」へのパワフルな開幕も好きですね。そこからの「乗車権」ですし

シングル曲とアルバム曲のバランスや、メリハリのある曲順…
ブレイクするとどうしてもシングル曲目当てで買う人が多くなると思うんですけど、本当に「作品を聴かせる工夫」が凄いと思います。

私が選ぶ、バンプの「国民的一枚」でした。

13.宇多田ヒカル『First Love』(1999)

前述の椎名林檎『無罪モラトリアム』と同じ年にリリースされたのがコチラの、宇多田ヒカル『First Love』
90年代後半は、たくさんの女性シンガーが登場し人気を博しました。その代表的存在が彼女ですよね。

卓越したポップスセンスと、伸びやかで力強い歌声を武器に音楽業界のトップに君臨した若き女王。

そんな彼女の代表作ともいえるのが1stアルバム『First Love』。
表題曲「First Love」を含む全11曲に彼女の魅力が詰まっています。

馴染みやすいメロディーに、情緒あふれる歌詞。まさにJ-POP。
その「使い方」みたいなところに彼女のセンスを感じます。

とはいえ、それまでのJ-POPとは一線を画す新しさがあるんですよね…近未来的というか。
20年以上経った今でも色褪せないどころか、斬新です。

本作の顔とも言えるのが代表曲「Automatic」ですね。

ブラックミュージックの要素を取り入れた都会的でスタイリッシュなサウンドに乗せる、表現力豊かな歌声がたまりません。当時、15歳とは思えませんね…

イントロも魅力的ですね。一気に引き込まれます。

「time will tell」なんかも良いですよね~ 大好きです。

『First Love』は日本に「R&B」を浸透させるきっかけのような作品ですが、同時にJ-POPに新しい風を吹かせたという意味でも非常に重要な作品だと思います。

14.Mr.Children『深海』(1996)

90年代のJ-POPシーンで「歌姫」たちと共に、大きな存在であったのがMr.Children(ミスターチルドレン)
もはやこの名前を知らない人はいないでしょう。日本を代表する大人気バンドですね。

この時期と言えば「Tomorrow never knows」や「シーソーゲーム」など、彼らの代表曲がリリースされていますが、今回は…『深海』を選ばせていただきました。

こちらのアルバムは、前作『Atomic Heart』の大ヒットを受けリリースされました。
…が、蓋を開けてみればとても大衆向けとは思えないガチガチのコンセプトアルバム。

その名の通り、全体的にダークで重い構成。ノリの良いポップソングでミスチルを好きになった人はかなりショックだったと思います。

インストのオープニング「Dive」から、次曲「シーラカンス」
歪みの効いたヘビィで緊張感のあるギターサウンドに思わず息をのむ…
そして、どんどん深く沈んでいき、同時に慣れも出てくるんですよ。そんなタイミングで「名もなき詩」が…

世界観重視のアルバムとはいえ、受け入れやすさも存在しているのは、やはり桜井さんのメロディーと小林さんのアレンジのスゴイところ。

そのマニアックさとポピュラーさの共存によって、リスナーはより深いところへと引き込まれてしまうのです…

名盤であり、名作です。

15.フジファブリック『TEENAGER』(2008)

ミスチルとは逆に、よりポップな路線に挑んだのがロックバンド・フジファブリック

フジファブリックと言えば、志村正彦さんの叙事的とも叙情的ともとれる繊細な歌詞と、独特なメロディーが魅力のバンドです。その不安定で焦燥的な音楽が心に刺さったりするわけですが…

今回選んだのは、それまでと比べ力強いアプローチが感じられるアルバム『TEENAGER』です。

それまでのシンプルなバンドサウンドから一転、シンセを中心としたボリューミーでポップなアレンジが目立ちます。また、志村さん以外のメンバーが手掛けた楽曲も多く収録されています。

これによりバンドのもつ繊細さはやや後退するのですが、エネルギッシュなサウンドに乗せた彼らの潜在的な繊細さが返って印象的だったり…

個人的に注目なのが「記念写真」という曲。ギター(現・ボーカル)の山内さんによるキャッチーなメロディーと、志村さんの歌詞が分厚いアレンジで光ります。

次作『CHRONICLE』を最後に志村さんはこの世を去り、山内さんを中心とした新しいフジファブリックが始まるわけですが、この「記念写真」の存在は二つのフジファブリックを繋ぐ重要な存在であると感じています。

そしてバンドの代表曲「若者のすべて」
非常にシンプルな音楽なのですが、どういうわけかとてつもない力を持っているんですよね。理屈を超越した神秘ともいえる楽曲です。芸術の持つあいまいな美しさを感じさせてくれます。

私的には、バンドの可能性・ロックの可能性を体現した、意味のある一枚だと感じていたりします。

16.尾崎豊『十七歳の地図』(1983)

若者、あるいは思春期の心をうたった名アーティストと言えば、やはり尾崎豊でしょう。

彼も若くしてこの世を去ってしまったミュージシャンですね…
その存在の大きさは、令和のいまも変わりません。

彼の代表作であり、最高傑作と名高いのが1stアルバム『十七歳の地図』

代表曲「I LOVE YOU」「15の夜」「僕が僕であるために」を含む、珠玉の10曲が収録されています。

彼の作る音楽は、非常に大衆的ですよね。わかりやすいメロディー、わかりやすい歌詞。
これを昇華させるのが、彼自身の持つ魅力です。

それは、圧倒的な歌唱力であったり、歌声であったり、オーラであったり…
そして、キャッチーな音楽はやはり「伝わりやすい」です。伝えたいことが。

このアルバムで一番好きな曲は、やっぱり「15の夜」かもしれません。
15歳の得も言われぬ焦燥感であったり、不安であったり、そんなものをストレートな歌詞で綴っています。

歌詞が取り上げられることが多いこの曲ですが当然のようにメロディーも素晴らしい

いい歌詞をいいメロディーで歌えばそりゃ売れますよ。J-POP、というかポピュラー音楽における象徴的作品だと思います。

17.銀杏BOYZ『君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命』(2005)

思春期を歌ったアルバムと言えば思いつくのがコチラ。
「男子」全開の、青臭くて、野蛮で、下品で…ちょっと可愛い一枚です。

まずタイトルがスゴイですよね。間違いなくアブナいですから。
2人の恋愛(おそらく片思い?)を、世界規模で語るヤンチャさがたまらないです。
そして、「君と僕」という言い方…「僕」にとって世界の主人公は「君」なんでしょう。

本作は『DOOR』と同時発売されました。そちらはそちらで良いのですが、やっぱりコッチが好きです。
(ジャケットデザインを手がけた江口寿史さんが好き、というのもあるのでしょうが)

ド頭の「日本人」から、ラストの「東京」まで…とにかく自由奔放な本作
音楽の自由さや楽しさを感じさせてくれます。

とはいえ、演奏や楽曲のハイレベルさにも定評があるのがスゴイところ。
ちゃんと一流ミュージシャンであるのが好ポイントですね。

個人的に好きなのが「SKOOL KILL」です。
物騒なタイトルではありますが、中身は… まぁ、健全とは言えないかもしれません。
少年のピュアな愛が暴走している歌ですが、その痛々しくも純粋な姿が可愛かったりもします(個人の見解です)。

「漂流教室」や「東京」なんかのエモーショナルな楽曲も魅力的です。

アルバムのタイトル通りラブソングが多いのですが、中高生特有の「恋愛観」を歌った姿勢が面白いです。
くだらないことに本気(マジ)になれたあの頃に戻れる…そんな1枚ですよ。

18.岡村靖幸『家庭教師』(1990)

「アブナイ音楽」つながり…というわけでもありませんが、次はコチラを紹介しましょう。

J-POPシーンに欠かせないシンガーソングライターのひとり、岡村靖幸
色々あって正直、継続的な活躍はないものの、彼の音楽を支持するミュージシャンは数知れず。

作詞作曲・アレンジ全てを手掛ける姿勢が特徴ですね。最近だと星野源や、大石昌良なんかが似たタイプでしょうか?

そんな彼の代表作といえば4thアルバム『家庭教師』でしょうか。

この頃の代表曲「カルアミルク」「どぉなっちゃってんだよ」などが収録されています。

中でもお気に入りなのが、名曲「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」
アレンジがいいですね。90年代の特徴的なアレンジが光ります。
この曲をきっかけに「90年代サウンド」が生まれたといっても過言ではないのでは?なんて思ったり…

あとは、表題曲「家庭教師」ですね。強烈です。
後半の「語り」とシンプルなサウンドに、言葉では言い表せない独特な魅力がありますね。
聴いたことない方は是非聴いてみて下さい。

90年代のはじまりにこのアルバムが出ていたことに驚きです。やっぱり時代の先取り感がありますね。
「尖ったものは売れにくい」なんて言うのは、言い訳でしかない。そう思わされてしまいます…

19.ゆらゆら帝国『空洞です』(2007)

日本の音楽、特にロックというジャンルにおいて強烈なインパクトを残したバンド・ゆらゆら帝国

そして、自他ともに認める最高傑作『空洞です』
本作をリリースし、ゆらゆら帝国は「完全に出来上がってしまった」として解散することになります。

それまでのバラエティに富んだ楽曲たちで人気を博した彼らの到達点が、この『空洞です』という作品で語られている気がします。
どこか虚ろでつかみどころがない感じ…フワフワした空気は軽いようでずっしり、どんよりとしていて重たい

1曲目の「おはようまだやろう」のブラスを用いたボリューミーでありながら淡々としたサウンドが非常に印象的です。

「できない」「あえて抵抗しない」をはじめとした、シンプルでサイケデリックなサウンドに乗せた退廃的でネガティブな世界観もこのアルバムの特徴ですね。

中でも表題曲「空洞です」はアルバムの象徴ともいえる作品です。無機質なメロディーや歌詞、サイケデリックで洗練されたサウンド…どれをとっても魅力的です。危ない魅力です。

初期のギラギラとしたガレージロックサウンドとは打って変わった、サイケデリックで少し不気味な楽曲群。

唯一無二でありながら、後世へも大きな影響を与えた「オルタナティブ」な世界観。
近年だとROTH BART BARONやOGRE YOU ASSHOLEなんかに彼らのオルタナ魂を感じます。

20.Perfume『GAME』(2008)

ゆらゆら帝国の旋風と同じ頃、日本の音楽界を揺るがすアーティストが頭角を現しました。
それが、capsuleのメンバーとして活躍していた中田ヤスタカさんがプロデュースするユニット・Perfumeです。

テクノを基調とした独特の近未来的なサウンドとスタイル。後に日本の「フューチャーベース」を代表する存在になるわけですが、19枚目は、そんな彼女たちの1stオリジナルアルバム『GAME』です。

代表曲「ポリリズム」「チョコレイト・ディスコ」をはじめ、この時期のPerfumeらしさ全開のフレッシュな楽曲たちが収録されています。

はじめて聴いたとき衝撃を受けたのがシングル「マカロニ」です。高圧的なドラムのサウンドが刺激的ですね。

アルバムを通して近年に比べると、ドラムが生に近い音だったり、エレクトロミュージックでありながら全体的にバンドサウンド的な要素が強い気がします。それもあってかシンプルな構成の曲が多いイメージです。

「とっつきやすさ」みたいなところも、このアルバムが支持される理由なのかもしれません。

中田ヤスタカ氏の手掛ける緻密で美しい楽曲と、メンバー3人の持つ煌びやかで不思議な魅力は確かなもので、読売新聞「J-POP 平成の名盤30」にも選出され高い評価を得ました。
平成のJ-POPには欠かせない存在ですからね、中田ヤスタカさんは(きゃりーぱみゅぱみゅとかね)。

中でもこの『GAME』は時代を象徴する代表的な一枚と言えるでしょう。

21.Cornelius『FANTASMA』(1997)

中田ヤスタカ氏により独自の進化を遂げ姿を変えた「渋谷系」の音楽。

そんな渋谷系を確立した中心人物の一人…それが小山田圭吾さん。
彼は「フリッパーズ・ギター」のメンバーとして活躍した後、「Cornelius」としてのソロ活動を始めました。

Corneliusの代表作といえば、やはり1997年に発売されたアルバム『FANTASMA』でしょう。

彼の作る世界観は、ロックでありポップであり…エンターテインメントであり、アートでもあります

彼が歌う楽曲は、いわゆる「歌モノ」とは一線を画し、歌声そのものが「楽器」のひとつです
本作でもその印象は存在していて、インストを中心とした流れる様な音楽の中に彼の印象的な声が光ります。

代表曲「STAR FRUIT SURF RIDER」は、やはり魅力的ですね。
後期フリッパーズ(ヘッド博士らへん)のギターポップサウンドを基調に、よりエレクトリックなアプローチが新鮮じゃないですか?

また、それでいてロックなんですよね
「NEW MUSIC MACHINE」とか「FREE FALL」とか、めちゃくちゃカッコいいです。

彼が作る実験的な音の世界は唯一無二の芸術ですね。

22.小沢健二『LIFE』(1994)

フリッパーズ・ギターといえば忘れてはいけないのが、オザケンこと小沢健二さん。
1998年に渡米して以来、メディアから姿を消した彼ですが、2017年に「流動体について」をリリースし本格復帰しました。嬉しいですね。

フリッパーズ、そしてソロでの人気は凄まじく、その家系も相まって「渋谷系の王子様」と称され日本の音楽界に旋風を巻き起こしました。

そんな彼を代表するのが2ndアルバム『LIFE』

代表曲「ラブリー」「ぼくらが旅に出る理由」などの人気曲が収録されています。

そしてなんといっても「今夜はブギーバック」でしょう。

当時人気を博していたHIP-HOPユニット・スチャダラパーとのコラボ楽曲です。言わずと知れた名曲ですね。

スチャダラパーのユルく脱力感のあるラップとオザケンの甘いボーカルが、ファンキーなサウンドの中で何とも言えない魅力を発揮しています。

ムーディで大人な魅力と、若者カルチャーの象徴ともいえる「渋谷系」アーティストのフレッシュ感が融合した唯一無二の楽曲ですね。現在の音楽シーンに共通するものを感じます(感じませんか??)。

これはアルバム全体に共通して言えることで、当時の流行をポップな面、サブカルな面、両方を体現した、時代を象徴する一枚です。

23.サニーデイ・サービス『東京』(1996)

フリッパーズ・ギターらとともに、90年代のフォークミュージックに新しい風を吹かせたのがバンド:サニーデイ・サービス

フリッパーズがポップなフォークなら、サニーデイはロック

オシャレなシティポップから荒々しいロックまで、70年代を思わせる(はっぴいえんどとか)ノスタルジックなサウンドで歌い上げる姿が印象的です。

『DANCE TO YOU』や『いいね!』など近年のアルバムも非常に魅力的ですが、
一枚選ぶとしたら、やはり1996年の『東京』でしょう。

表題曲「東京」による印象的な開幕から、代表曲「恋におちたら」へ。
「あじさい」のような爽やかなギターポップや、気だるいダンスビート「青春狂走曲」など当時の彼らの魅力がバリエーション豊かに描かれています。

個人的に好きなのが「真赤な太陽」
ハーモニカによる煌びやかな開幕が印象的です。アコースティックなバンドサウンドが爽やかでいいですね。
あと、譜割りも特徴的なんですよね。リズミカルで語感が良いです。

時代の流行的なものかもしれませんが、1990年代のギターポップは懐かしさと新鮮さを兼ね備えた、時代を問わないサウンドが特徴的ですね。前述のスピッツ『ハチミツ』も同じ香りがします。

サウンドもそうですが、何とも言えない「けだるさ」や「浮遊感」もキーとなってきそうです。

24.THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『ギヤ・ブルーズ』(1998)

90年代のJ-ROCKを語る上で忘れてはいけないのがミッシェルの存在。

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(ミッシェルガンエレファント)は、1996年にデビューした4人組ロックバンド。
その魅力といえばシンプルで荒々しいサウンド。ギラギラとした鋭さがカッコいいですね。世間一般の「ロック」というイメージにぴったりなバンドかもしれません。ワイルドです。

また、ワイルドでありながら、繊細なプレイイングで魅了する技巧派でもあります。ギターの高速カッティングやメロディアスなベースラインが美しいです。

そんなミッシェルから、今回は『ギヤ・ブルーズ』を選出。
『cult grass stars』や『Chicken Zombies』と迷いました…

代表曲「スモーキン・ビリー」「G.W.D」を含む14曲が収録されています。

お気に入りは「サタニック・ブンブン・ヘッド」。ただ曲名を叫び続ける歌詞(?)が印象的なインスト色強めの楽曲。ミッシェルのテクニックを味わえる一曲です。
途中でテンポや雰囲気がガラッと変わるのも面白いですね。

正直ミッシェルを聴き始めたのは最近なんですけど(物心ついたときには解散していましたしね)、1stから順に聴いていって、このアルバムを聴いた頃にはすっかり虜になっていました。誰が見ても明らかにカッコイイ。

時代を象徴するカリスマバンドの大名盤です。

25.ASIAN KUNG-FU GENERATION『ソルファ』(2004)

BUMP OF CHICKENらとともに、2000年代のロックシーンを象徴するバンド・アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATION。

ナンバーガールのような荒々しいロックをベースにダンスミュージックやマーチなど、ポップで鮮やかなアレンジが光ります。
骨太ロックでありながら、そのポップで多彩なアレンジが、ロックファンのみならず広く愛される所以ではないでしょうか。

そんな彼らの代表作といえばやはり『ソルファ』でしょう。
他にも人気のアルバムはいくつもありますが、アジカンといえばやっぱりコレ!
スピッツの『ハチミツ』同様、”バンドの顔”ともいえる一枚です。

代表曲「Re:Re:」や、アニメ『鋼の錬金術師』OP「リライト」など、粒ぞろいの12曲が収録されています。

90年代のギラギラとしたロックを連想させるギターロックチューン「振動覚」でのオープニングから、ダンサブルな「ループ&ループ」まで、やはりバリエーション豊かで楽しい

2000年代以降の「多様なロック」を体現した、日本のロックシーンには欠かせない名盤ですね。
アジカン初心者にもオススメの一枚です。

また、本作『ソルファ』に関しては、コチラで全曲レビューを行っています。
興味のある方は合わせてご覧になってください。

26.andymori『andymori』(2009)

アジカンの登場から少しあと、よりポップなアプローチでロックシーンを盛り上げたのがandymori

andymoriは2008年にデビューしたスリーピースバンドです。
疾走感あふれるパンキッシュな「パワーポップ」サウンドが魅力的です。
エネルギッシュな演奏や、社会に対する皮肉めいた歌詞など「若さ」を感じさせる楽曲群で人気を博しました。

解散から7年近く経った今でも、ロックファンを中心に高い支持を得る隠れた名バンドです。

そんなandymoriのアルバムはどれも魅力的です…が、今回は1stフルアルバム『andymori』を選出。

『THE BLUE HEARTS』に続いて「アーティスト名のアルバムは名盤」論の2枚目です。

代表曲「ベンガルトラとウィスキー」などを含むフレッシュなラインナップの一枚です。

個人的に好きなのが「ハッピーエンド」
andymoriといえば激しい曲が代表的なんですけど、こういうミドルテンポの楽曲の「ゆるいノリ」も素敵です。
どんな曲でもノリがいいのがこのバンドの魅力ですね。

クリーンなギターサウンド、うねるベースライン、生き生きとしたドラム…3ピースだと楽器一つ一つの魅力が良く伝わります。

ロックなサウンドとポップなメロディーが癖になる、andymoriならではの世界観。
普段ロックを聴かない人にも是非聴いて欲しい、そんな一枚でした。

27.いきものがかり『My song Your song』(2008)

2000年代において絶大な人気を誇るバンド・いきものがかり

水野さんの作るキャッチーな王道ポップチューンと、山下さんのフォーキーでオシャレな楽曲群。
そしてそれらを生き生きと歌い上げるボーカルの吉岡さん。

オリンピックや朝ドラ、合唱コンクール課題曲まで手掛ける彼らは、ひょっとすると「国民的」の名に最もふさわしいミュージシャンかもしれません。

そんないきものがかりの数ある人気アルバムの中から今回は3rd『My song Your song』を選出。

理由としては、このアルバムが最も「いきものがかりらしい」と思ったから。

1,2枚目の素朴なギターポップの要素と、4枚目以降で顕著なボリューミーなサウンドや壮大なバラードの要素…
本作はその両方を楽しむことが出来る非常に贅沢なアルバムと言えるでしょう。

代表曲「気まぐれロマンティック」「ブルーバード」などバラエティ豊かな14曲が収録されています。

個人的なお気に入りは「message」。山下さんらしさ溢れる、ギターとハーモニカが楽しい爽やかな一曲です。
携帯電話の「メール」を題材にした恋愛ソングなのですが、いやぁ時代を感じますね…

いきものがかりといえば水野さんの楽曲が有名ですが(シングル曲を多く手掛けているからですね)、山下さんの楽曲も負けず劣らずの名曲が多いです。
二人の異なるアプローチがアルバムを豊かなものにしていると思います。

山下さんといえば脱退を発表なされましたが、今後のいきものがかりはどうなるのでしょうか…

何はともあれ、国民的アーティストの国民的アルバムでした。

28.あいみょん『瞬間的シックスセンス』(2019)

令和の音楽シーンにおいて欠かせないシンガーソングライター・あいみょん

等身大な歌詞と、王道をゆくポップミュージックで絶大な支持を得ている彼女ですが…
今回は2019年にリリースされた『瞬間的シックスセンス』をご紹介いたします。

前作『青春のエキサイトメント』も、次作『おいしいパスタがあると聞いて』も魅力的ですが、彼女のターニングポイントとなったのはやはりこのアルバムでしょう。

それまで「音楽好きや新しいもの好きな若者」の間で聴かれていた彼女が、「マリーゴールド」を経て「日本国民誰もが知っている」ようなミュージシャンとなり、国民的シンガーとしての1作目

大ヒット曲「マリーゴールド」「あした世界が終わるとしても」などが収録されています。

個人的に好きなのが6thシングルでもある「今夜このまま」
この曲を初めて聴いたとき、かなり衝撃を受けました。もちろんその前から彼女の存在は知っていたのですが…

王道なポップスでありながら、やはり根本にはクラシカルなフォークやロックの要素があって…
彼女の持つ「ロックをポップスに落とし込む」技術は本当に素晴らしいですね。彼女がファンを公言しているだけあってそのアプローチに、スピッツの草野マサムネさんを連想させます。

そして歌が上手い。力強い低めの声質が、アコースティックギターの柔らかさと上手く調和しますよね。
歌とギターだけでも成立する…そんなオーラがあります。

今後もポップスとロックの懸け橋になってくれることを期待したいと思います。

29.米津玄師『STRAY SHEEP』(2020)

あいみょんと共に令和の音楽シーンを盛り上げているのが、米津玄師

とはいえ、「ハチ」として平成のサブカルチャーを牽引していたんですよね。
なんというか…すっかり国民的アーティストになりましたね。今やメインカルチャ―ですよ。

彼といえば「ハチ」時代から、一癖も二癖もある中毒性の高い音楽が魅力なわけですが…
それが、大衆から支持される日が来るとは…

これはJ-POPの常識が変わってきたり、流行の変遷みたいなのも大きく影響していると思うのですが、一番の要因は彼の圧倒的な「音楽センス」でしょう。
基本的には万人受けするポップス…なのですが、マニアックな要素を上手くあしらってより耳に残る音楽を作っていますよね。

そんな彼のアルバムからは2020年リリースの『STRAY SHEEP』を選出。

昔の作品も名曲ぞろいで非常に魅力的なのですが、彼の作品の中で最も大衆的ともいえるのが本作。
「Lemon」「馬と鹿」などが収録されており、「メインストリーム」としての米津玄師の魅力がをふんだんに味わうことが出来ます。もはやベスト盤ですね。

中でも好きなのが「感電」
グルーヴ感の強い一曲。王道ファンクでありながら、アレンジに「令和」を感じさせます。エキゾチックで尖ったサウンドに痺れてしまいますね(感電だけに)。

歌い方なんかも新しい感じがします。リズム感とか、発音とか。

大衆性とマニアックの両立が美しい、新常識的ミュージックです。

30.King Gnu『CEREMONY』(2020)

令和の音楽シーンに突如現れ、絶大な支持を得ている新時代のロックバンド・King Gnu

音大出身の肩書きに恥じない、ハイレベルな楽曲が人気です。

彼らの音楽は非常に「劇的」といいますか、ダイナミックな楽曲展開が楽しいですね。

今回紹介するのは2020年にリリースされた『CEREMONY』
代表曲「白日」「どろん」を含む粋なラインナップです。

彼らの顔ともいえる「白日」ですが、やっぱり凄いですよね。
高音の神秘的な出だしで、シリアスな印象を与えつつ、その後は弾むようなノリのいいメロディーに。
そして、サビのキャッチーさ。

硬派に見せかけて案外おちゃめというか、けっこう自由奔放なんですよね。それでいてまとまりは良くて…
本当に常人には作れない音楽なんですよ。でも常人にも魅力が伝わる。それが凄い。

決して置いてけぼりにはしないんですよね。聴く人のことを大切にしているというか…素晴らしいですね。

もう一曲、個人的にピックアップしたいのが、これまた人気曲の「飛行艇」
とにかく「歪み」が気持ち良い。90年代っぽいというか、結構思い切った荒々しいディストーションが清々しいですね。
近年はクリーンでサイケデリックなギターサウンドが流行している気がしているのですが、こういうのも魅力的なんですよね~。オルタナティブロック好きにはたまりません。

2000年代以降のロックの多様化を象徴するアーティストです。これからも斬新な音楽でリスナーを驚かせてくれることでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

みなさんのお気に入りの一枚は入っていましたか?

「なんでコレが入っていないんだ!」と感じている方もいらっしゃることでしょう。

偏りがないように選出したつもりですが、どうしても自分の色が出てしまった気がします。なんというか、バンドが多い。アイドルとかもいいアルバムはいっぱいあるんですけどね…

また、この記事をきっかけにアルバムを1枚でも聴いてくださった方がいたら嬉しい限りです。

というわけで、今回はお勧めの邦楽アルバムから30枚を厳選して紹介しました。

といっても、私がまだ知らない名盤もたくさん存在していると思います。
これからも音楽探求は続いていきます…

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