2023年、アジカンの名盤『サーフブンガクカマクラ』の完全版が遂にリリースされました。
2008年当時のパワーポップ路線と、現在の洗練されたサウンドが合わさった、アジカンのひとつの到達点とも言える作品。
皆が待ち望んでいた、アルバムのリリースに前アジカンファンが歓喜したはず!
そんなアルバムを引っ提げてのツアー。
その名も「サーフ ブンガク カマクラ」。
大注目の若手ミュージシャンたちをゲストに、東奔西走。
なんというか… ベテランとは思えないフットワーク…
10月。
北海道期待の新星「NOT WONK」をOAに迎えた札幌での公演が終わり、
迎えた「Zepp NAGOYA」でのライブ。
だったのですが、
ボーカルの「ゴッチ」こと後藤正文の体調不良により、急遽「中断」に!
リスナー歴10年にして、本公演が初めてのアジカンライブだった私。
思いもよらない初参加となりました…
今回は、アジカンの歴史に残るであろう「幻のライブ」の全貌を綴っていきたいと思います!
(覚えている範囲で)
OA:GOING UNDER GROUND
オープニングアクト…いわゆる「前座」として登場したのが「GUG」ことGOING UNDER GROUND。
No BusesやNOT WONK、WurtSといった若手ミュージシャンばかりのラインナップに、まさかのGUG。
2001年にメジャーデビューしたアジカンとは同世代のバンド。今やベテランですね。
なんとなくですが、ファン層もそれなりに被っているイメージ。
バンドサウンドにシンセやストリングスを合わせたスタイルがなんともドラマチック。
アジカンとGUGの共演は、Gt.中澤さん曰く「仙台ぶり」。
この仙台というのは、2014年に開催された、スピッツ主催のイベント「ロックのほそ道」のこと。
つまりは、9年ぶりの共演!
Vo.松本さんがアジカンとライブができることへの喜びを熱く語っていました。
そんな中1曲目に披露されたのが、名曲「ランブル」。
ダンスビートのアツい展開がなんとも彼ららしい。
「1曲目からランブル?!」と、衝撃を受けました。なんとなく「クライマックス感」のある曲なので。
知っている人も知らない人も大盛り上がりの開幕。会場の雰囲気も一気に「ライブ」ムードに。
軽くMCを挟んで、続く2曲目はデビュー曲「グラフティ―」。
ストリングスから始まる劇的なイントロが痺れる!もしかしたらGUGで一番好きな曲かも。
壮大なイントロから始まる、シンプルで疾走感のあるギターロック… 最高です。
個人的にはこの時点でテンションMAX。やっぱりロックって最高だな、と。
このライブでGUGを初めて聴いた人もきっとみんな好きになったはず。
しかしOAにしてこの盛り上がり、この安定感… さすがはベテラン。
自身たちのことを「シニア枠」と呼んでいましたね笑
そして一言、
松本「俺たちの方が(アジカンより)年下だからね」
3曲目は「昼呑み」。
最新アルバム『あたらしいともだち』からの1曲。
酒飲みのおっさんのうた。素朴で等身大な歌詞が良い。
壮大なロックもいいけれど、こういった楽曲も彼ららしい。
楽しそうに歌う姿がなんとも印象的でした。
ここで長めのMC…というか煽り。
松本「音楽が好きな奴!」「一緒に歌ってくれる奴!!」
盛り上げるのが上手いなぁ…
(スピッツのライブを思い出しながら)
4曲目は、「LISTEN TO THE STEREO!!」。
絶対に盛り上がる最高のパワーポップナンバー。
アニメ『家庭教師ヒットマンREBORN!』のOPになっていました。
この字面がもはや懐かしい。小学生の頃、毎週観てたなぁ…
当時の頃を少しだけ思い出しながら。
会場全体が一丸となって叫んでいました。
松本「歌詞なんて適当でいいんだから!」
正直、ここまで盛り上がるとは思っていませんでした。
アジカンもGUGも好きな同士が、こんなにもたくさんいる喜び。
この喜びを胸に、続く5曲目は「トワイライト」。
自分の中でGOING UNDER GROUNDといえば、やっぱり「トワイライト」。
この曲で彼らの存在を知った人も少なくないはず。
歌い出しが最高なんですよね。
幻想的な音に乗せて紡がれるいくつもの情景… ここにこの曲のすべてが詰まっている感じがして、本当に美しい。
この曲は本当に、いつでも希望を与えてくれます。
初めて生で聴いて、再確認。やっぱり良い曲だなぁ。
ここで、自分たちのライブの宣伝。この潔さ、好感しかない。
終演後に、なんと手売りしてましたね!
思わずCDを購入。サブスクで聴いていたので現物はベスト盤しか持ってなかったんですよね~
さてラストの曲は、「the band」。
バンドというか、ロックというか音楽の楽しさ、喜び、美しさが詰まった楽曲。
20年以上音楽をやり続けている彼らだからこその、凄まじい説得力。
この場にいる誰もが、音楽が好きで集まった人たち。
会場の一体感。やっぱりライブって最高だ!
アジカンのみならず、GUGのライブもはじめてだったわけですが…
本当に楽しかった!!
個人的には、「グラフティー」と「トワイライト」をやってくれたのが嬉しかったですね。
彼らのことを初めて知った人もきっと楽しめたはず!
GOING UNDER GROUNDのみなさん!ありがとうございました!!
アジカン登場
楽器転換が終わり、遂にアジカンの出番がスタート。
歓声と拍手で迎えられた4人。
一言あいさつし、流れるように1曲目へ。
1.藤沢ルーザー
1曲目はコチラ。
アルバムの1曲目ということもあり、納得のオープニング。
これは、アルバムの曲順で演奏されていく感じなのかな…?
当然ながら、2023年の完全版でも最初に聴いた曲。
結構、衝撃でした。
2008年のオリジナル版と、一緒といえば一緒なのですが、明らかに「ちょっと違う」。
サウンドメイク的な部分だったり、ゴッチの歌声だったり歌い方だったり。
間違いなく聴きなれた「藤沢ルーザー」なのに、なんとも新鮮でした。
今回のライブでも2023年バージョンに準じた演奏でしたね。今のアジカンの音。
ちょっとゆったりとした余裕のある艶やかなプレイングが印象的でした。
が、ひとつだけ違和感が。
ゴッチが歌わない。
たびたびマイクから口を遠ざけては、少し険しい表情に。
演奏が終わり、大歓声の中に感じる、会場のざわつき。
皆が少しだけ違和感を感じ始めた中、そのまま2曲目へ。
2.石上ヒルズ
続く楽曲は「石上ヒルズ」。
やっぱりアルバムの収録順のようです。
ミドルテンポで小気味よい、ソフトかつハードなロックチューン。
何とも言えない平熱感が心地よい。
昼下がりが似合う、非常に「サーフ ブンガク カマクラ」らしい一曲。
歌詞もノリ重視な雰囲気でちょっぴりゴキゲン。
うーん…こういうのも捨てがたいよなぁ~。
ユラユラとしたメロディーに思わず身体もユラユラ…
しかし、ここでもゴッチは歌わない… 一体どうしたんだ??
演奏が終わり、少しの静寂の後、
会場に響く「ゴッチ」コール。
「どうした?」「頑張れ!」「無理すんな!」が詰まった温かいコールに、少し顔を緩めるメンバー。
そして、演奏が再開されます。
3.鵠沼サーフ
3曲目は「鵠沼サーフ」。
ライブ中は気づきませんでしたが、地味に収録順じゃなかったですね…
石上ヒルズに続いて、ちょっとダラっとしたAメロにどこか「江ノ島の夏」を感じさせる一曲。
疾走感のあるロックもいいですが、こういう曲もライブだと非常に盛り上がりますよね。
会場全体が作る波。
明らかに辛そうなゴッチを前に、激励を込めて歌い出す観衆。
この瞬間、会場の空気が、想いが完全に一つになった気がしました。
ゴッチに何があった?
ここで、一度MC。
ついにゴッチが口を開く(以下、ニュアンス)
後藤「あの… お分かりの通り… こんな感じで…」(ガラガラ)
後藤「体調管理には、もちろん気をつけていたんだけど」
「昨日熱があって…」
後藤「今日は熱も下がって、俺もいけるって思ってたし…」
「なにより、GOING UNDER GROUNDとどうしても一緒にやりたくて」
後藤「申し訳ない」「本当ならもっと早く中止とかにするべきだった」
会場「ゴッチ!」「無理すんな!」「もう帰ろう!!」
後藤「今日は、100%が出せないから」
後藤「スタッフとも話したんだけど… 払い戻しにします…」
前日まで高熱があったことを明かしたゴッチ。
会場に飛び交う激励の言葉が温かかった。
後藤「今日はあと数曲だけやって終わります…」
「代わりに、建さんがボーカルの曲を2曲…」
会場「おぉ!」
後藤「追浜フィーリンダウンって曲と」
会場「おぉ…」ざわざわ
後藤「嘘とワンダーランドを…」
会場「おおぉぉ!!!」ギャー
4.追浜フィーリンダウン
まさかの選曲。
「出町柳パラレルユニバース」のカップリングだから「やるかも?」とは思っていましたが。
こんな形で披露されるとは…
喜多さんがリードボーカルの曲。
よくスピッツの草野マサムネに似ていると言われていますが、生で聴いてもやっぱり綺麗。
なんか、どっから声出てるんだろう?という気も。
そして思っていた以上に、声が通る。もっと細いと思っていました、すみません。
「ボーカル喜多」というと、『ぼっち・ざ・ろっく!』を思い出します。
どっちの喜多さんも、素晴らしいボーカリストだ…
ゴッチの分も、というかのように、真っ直ぐな瞳で歌う姿にうっとり。
他のメンバーもたびたびゴッチを心配するような眼差しを向けていたのが印象的でした。
5.嘘とワンダーランド
まさかのサプライズ。
5曲目は「嘘とワンダーランド」。
なんというか… ファンにえらく人気のある楽曲ですよね。私も好きです。
Gt.喜多さんがボーカル、そして作曲を務めた一曲。
それゆえ、メロディーがアジカンっぽくない。これはいい意味で。
非常にユニークというか、特別な感じがするんですよね。
そして、そんなメロディーラインが喜多さんの優しい声に合うんだな~。
それでいて演奏やアレンジはしっかりアジカンなのがいい。
メンバーひとりひとりの個性がしっかりそのまま出ています。
この曲が人気の理由は、やっぱり特別感でしょうね。
他の曲では味わえないアジカンの風味が楽しめる魅惑ソングです。
会場の温かい雰囲気
後藤「ちょっと歌えそうなやつをあと2曲…」
後藤「ループ&ループと…」
会場「おぉ!!」
後藤「最後に無限グライダーを…」
会場「うおおぉぉぉ!!!!」
6.ループ&ループ
イントロから大盛り上がりの「ループ&ループ」。
『ソルファ』収録。アジカンの代表曲のひとつですね。
やっぱりアジカンといえばダンスビート。
飛び跳ねながらの大合唱でした。
必死に歌うゴッチ。その横で少し心配そうな伊地知さん。左右から挟み込むように歌う二人。
そして負けじと応える観衆。
本当に美しい時間が流れていました。なんていいライブなんだ。
これぞライブ。これぞ音楽!!
7.無限グライダー
そしてそして、とんでもサプライズ。
最後に披露されたのは「無限グライダー」。
これは流石に誰も予想できなかったのではないでしょうか?
この曲は、なんというか…隠れた大名曲ですよね。
正直あまり語られることの無い曲かもしれませんが、多分ファンならみんな好き。
言わないだけでみんな知っているんだ、この曲の良さを。
なんならこの曲が一番好きという方も少なくないのかもしれない…
まぁ、この辺は『君繋ファイブエム』全体に言えることかもしれませんが。
やっぱりシンプルなビートに乗せたギターロックが好きなんですよ。
だからアジカンを好きになったわけで。
そんなわけで、なんともファン心くすぐるフィナーレとなりました。
曲が終わり…余韻が残る中…
ゴッチに声をかける伊地知さん。
後藤「潔に…枯れてきてるからやめた方がいいと言われたので…」
「ここまでにします」
後藤「俺の喉の調子と中日ドラゴンズは…これから良くなっていくだけだから」
後藤「いつになるかはわかんないけど…ツアーの間に必ずリベンジに来るので…」
幻のライブ、終演
最後の挨拶(撮影タイム)でも、申し訳ないとこぼすゴッチ。切ない…
感謝と激励の拍手に包まれながらステージを後にする4人。
残された「Asian Kung-fu Generation」のライトが、どこか寂し気…
「残念だけど、最高だった」
「早く良くなって欲しい」
「思いがけないサプライズだったね」
「忘れられないライブになった」
会場を出るときに聞こえた言葉の数々。
アジカンを好きになってよかった。
今回のライブ、一番悔しいのは…間違いなくゴッチをはじめとしたメンバーたちでしょう。
いつか開催されるであろう「リベンジ」。
また、この日と同じメンバーで、集まることが出来たらなんと素敵なことだろう。
最高のライブを夢見て!
そんなわけで、2023年10月18日。「サーフブンガクカマクラ」at Zepp Nagoyaでした。
なんというか、歴史的なライブにうっかり遭遇してしまったなぁ…
残念なことに、広島公演も延期となってしまいましたね。
本当に、無理せずゆっくりしてください…
まぁ、コロナでのライブ自粛を経験した身としては、数か月なんてあっという間ですよ!
気長に待ちましょう、アジカンでも聴きながら。
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