昨年に続いて新型コロナウイルスの流行で不自由な生活の中、2021年もたくさんの名曲が誕生しました。
そんなわけで今回は、個人的に心に残った2021年の名曲の中から、厳選した10曲をご紹介していきます。
番外編① うっせぇわ(Ado)
…と、その前に。
番外編としてコチラの曲をピックアップ。
新語・流行語大賞にもノミネートされた、まさに2021年を象徴する1曲!
…ですが、公開されたのが2020年10月ということで、まさかの対象外。
キャッチーなメロディーに乗せた、生々しく勢いのある歌詞が特徴的ですね。
とにかく破壊力があります。
やっぱりサビが良いですね。
サビの頭がキャッチーで結構「強い」メロディーなので、シンプルで印象的な歌詞を当てることでより強烈なインパクトを生んでいると思います。
跳躍するメロディーは強い印象を与えられますが、それを最大限に生かすには高い歌唱力が必要不可欠です。
Adoさんの歌唱力と、強いメロディーライン…
両者の実力と信頼があったからこそ生まれた「最強の音楽」といった感じがします。
また、過激な歌詞から「話題性」の面でも2021年を賑わせてくれましたね。
1.きらり(藤井風)
それでは、2021年個人的名曲10選。
1曲目は、今年大ブレイクし、紅白への出場も決定したシンガーソングライター藤井風の「きらり」。
数年前から「次に来る」と言われていた次世代アーティストが、遂に来ました。
Honda『VEZEL』のCMソングとして書き下ろされたこの曲。
CMで流れているのを聴いて藤井風を知った方も少なくないのではないでしょうか?
軽快なリズムとキャッチーなメロディーが魅力的なこの曲ですが、個人的にはちょっと意外な感じがしました。
というのも、私が彼を知るきっかけになったのは2019年リリースの「何なんw」。
他にも「罪の香り」など、きらり以前の楽曲はオシャレでディープな色気溢れるものが多い印象でした。
自動車CMのイメージソングということもあってか、きらりは疾走感溢れる爽やかなナンバーですよね。
そして、そんなこの曲もやっぱりカッコイイ。キャッチャーでありながらとにかくオシャレ。
音楽的なところだけでなく、やっぱり彼の声には言葉には言い表せない良さがありますね~
渋い(あと岡山弁がクセになる)。
藤井風の新たな魅力を知ることが出来た1曲でした。
来年以降の彼の音楽が楽しみです。
2.アポトーシス(Official髭男dism)
2019年を象徴する1曲「Pretender」。
2曲目は、そんな大名作を生み出した「ヒゲダン」ことOfficial髭男dismが2021年にリリースした「アポトーシス」。
「アポトーシス」という響き、高校の生物の授業を思い出します。細胞が死ぬ自然現象ですよね?
…間違っていても気にしないでください。今回の本質はココではありません!
さて、髭男の「アポトーシス」がどんなものかと言いますと…
ピアノやギターのきらびやかなポップスバンド、という印象からは少し外れた、エレクトリック…というかHipHop的な主張が強い1曲です。
出だしのインパクトが凄まじいですよね。音数の少ない、海外のポップスっぽいというか、グローバルなサウンド。
そして、後半のバンドサウンドへと続く展開が非常にドラマチックです。
この曲が収録されているアルバム『Editorial』は、全体的にサウンドへのこだわりみたいなものが感じられます。
「聴き心地」に重点を置いているのが令和のポップスのひとつの特徴な気がします。
3.華奢なリップ(ジェニーハイfeat.ちゃんみな)
川谷絵音(Gt)、新垣隆(Key)、くっきー!(Ba)、中嶋イッキュウ(Vo)、小籔和豊(Dr)の5人からなるバンド・ジェニーハイ。
ポップミュージシャンから、芸人、さらにはゴーストライターとして世間を賑わせた現代音楽家まで…
番組の企画により結成された、とにかく色彩豊かなバラエティ要素の強いバンドですが、その実力は間違いなし!
芸人とはいえ、くっきー!さんはもともとプロのミュージシャンですし、小籔さんも音楽フェスを主催していたりもしますからね。
そして、そんな個性豊かなメンバーをまとめ上げるのが、ゲスの極み乙女。やindigo la Endでも活動している川谷さん。
彼は今までも常識にとらわれない、自由な音楽性で音楽界を牽引してきました。令和ポップスの礎を築いたと言っても過言ではないかもしれません。
ジェニーハイでは、よりミクスチャー要素の強い彩り豊かな楽曲を手掛けてきましたが、今回は2021年6月リリースの「華奢なリップ」をご紹介。
人気ラッパー・ちゃんみなをゲストボーカルに迎えたこの曲は、とにかくオシャレ。
「ゲス」なんかでもラップを取り入れた楽曲が存在していたので、いつも通りといえばそうなのですが…
より一層ポップスとしての強いアプローチを感じます。
令和の音楽シーンにおける川谷絵音の影響力を再確認できた1曲でした。
4.三原色(YOASOBI)
「夜に駆ける」以降J-POPシーンの第一線で活躍している音楽ユニット「YOASOBI」。
2021年もたくさんの名曲をリリースしたYOASOBIですが、その中から「三原色」をチョイス。
幾多さんの特徴的な、それでいて耳馴染みの良い歌声と、疾走感溢れる音楽が魅力的です。
というか、そういった楽曲が多いですよね、YOASOBIって。
YOASOBIらしい音楽、といいますか、そういったクセや個性を「スタイル」として確立することってミュージシャンが売れていく上で非常に理想的な形だと思うんですよね(これは多分人による)。
前述の川谷絵音さんとか、あとは小室哲哉さんとか、「らしさ」みたいなのが受け入れられると一気に聴きやすくなるというか…
一歩間違えると「また同じような曲出してるよ…」と飽きられてしまいますが、YOASOBIは自分らしさを保ちながらも音楽性に幅を持たせているというか、音楽だけでなく、そういったプロデュース面に凄さが感じられます。
その象徴ともいえるのがこの「三原色」です。
開始3秒でもう「YOASOBIの曲」だとわかる(サウンドの感じなのかなぁ)し、それでいて新しさも感じられる。
ahamoとのコラボムービーも良いですよね。「映像との融合」が令和ポップスのひとつの特徴でもあると思います。
5.嘘じゃない(崎山蒼志)
「高校生フォークソングGP」でグランプリを獲得して以降、注目が集まるシンガーソングライター・崎山蒼志。
大会で披露された「五月雨」、デビューシングル「夏至」など、アコギ1本で作り上げる壮大な世界観が魅力的な彼ですが、2021年はバンドやエレクトロなアレンジで、より厚みのある楽曲を多くリリースしました。
メジャーデビューアルバム『find fuse in youth』は彼の新しいスタイルを確立した1枚です。
名曲の宝庫ですね。「花火」とか好きです。
そんな彼の楽曲の中から今回は、シングル「嘘じゃない」を紹介。
アルバムの話をしておきながらアルバム外の曲を選びました…
この曲は人気アニメ「僕のヒーローアカデミア」のEDにも起用されました。
少年ジャンプらしい、王道で壮大な作品にマッチした、非常にポップで壮大なバラードとなっています。
彼の作る広い世界が、より鮮明にドラマチックに描かれたこの楽曲。圧巻です。
また、夏至リリース当時(15歳でしたっけ?)から比べて歌声が安定してきましたね。
大人になった彼が作る世界に思わずうっとりです(まだ若い)。
あと、全然関係ないですが、彼がチキンラーメンを食べるCMが好きです。
実は結構お茶目ですよね。
番外編②原点回帰(?)の音楽たち
独自の進化を続けるJ-POP。
そんな中、時代に逆行…というか原点回帰のようなアプローチで話題となった楽曲たちが生まれました。
01 ポリゴンウェイブ(Perfume)
2000年代以降、独自のスタイルで人気を博した音楽グループ・Perfume。
「無限未来」など、近年は、よりクールでスタイリッシュなアプローチを主軸としていました。
そんなPerfumeの新曲「ポリゴンウェイブ」。
最初に聴いたとき、「この感じ、懐かしい!」と感じました。
ポリリズムとかチョコレイトディスコとか、10年あるいはそれ以上前のPerfumeを彷彿とさせる、「歌モノ」色強めの楽曲です。
当時のPerfumeって、アイドル的な位置づけにいたじゃないですか。結構サブカル系というか。
「ポリゴンウェイブ」は、当時のやんちゃでキラキラしたアイドル的な魅力と、最近のオシャレで洗練された雰囲気を上手く融合した、Perfumeのあらゆる側面を引き出した作品だなぁという印象です。
近年、「渋谷系」に位置づけされる音楽がスタイリッシュ化を進める中で(Awesome City Clubとかね)、この曲は「原点回帰」…というか、あの頃の若者に寄り添うような、そんな温かみがあります。
02 tears(SEKAI NO OWARI)
同様にスタイリッシュな方向性で、音楽の幅を広げていたSEKAI NO OWARI。
中でも2019年のアルバム『Eye』『Lip』は当時かなりの衝撃を受けました。
それまでのファンタジックでカラフルなアルバムとは一変、ダークな世界観。
サウンド面でも、コンパクトなアレンジが目立ったり、バンドの新しい側面を見せてくれました。
そんな中、2020年末リリースの「Silent」以降あの頃のファンタジックな香りが帰ってきました。
そして、回帰を決定づけたのがアルバム『scent of memory』、並びに今回紹介する収録曲「tears」でしょう。
サウンド面では進化しつつ、ここ10年のセカオワの魅力を凝縮したかのようなアルバム。
中でも「tears」は、幻想的で明るくポップなサウンドに乗せた等身大でストーリー性のある歌詞。
「世界の終わり」名義で活動していた頃を連想させます(天使と悪魔とか)。
2022年のセカオワにも大注目です!
6.PING PONG!(CHAI feat.YMCK)
近年、ロック好きを中心に話題沸騰のガールズバンド「CHAI」。
Chayでも、CharでもなくCHAI。
「KAWAII」を感じさせる、ガーリーでポップな、ちょっぴり毒っ気のあるエレクトロな要素と、90年代のオルタナティブロックを彷彿とさせるハードでノイジーなギターサウンドが融合した、まさに新世代のロック!
その人気(中毒)は日本のみならず海外でも注目されています。
そんな彼女たちが2021年、米レーベル・SUB POPからアルバム『WINK』をリリース。
海外ミュージシャンとの共作など、彼女たち渾身のアルバム。
その中から、世界的音楽ユニット・YMCKとのコラボが話題となった「PING PONG」をピックアップ!
YMCKといえば、チップチューンと呼ばれる、8bitのゲームサウンドを彷彿とさせる「ピコピコ」サウンドが人気です。
そのピコピコとしたサウンドと、CHAIのダンサブルなバンドサウンドが上手く両者の旨味を引き出していますね。
令和のジャパニーズサブカルを牽引するCHAI。今後も目が離せません。
7.創造(星野源)
任天堂の看板ゲームシリーズ「スーパーマリオ」の35周年を記念して作られたのが星野源「創造」。
コイン、スーパーキノコ、土管などのSEがちりばめられているなど、「マリオ愛」を感じさせる遊び心溢れる楽しい楽曲です。
また、創造というタイトルらしく、とにかく挑戦的でクリエイティブなアレンジに脱帽です。
今までも「アイデア」など、アレンジの多様性みたいなところをプッシュしてきた彼だからこそ為せる技だなぁという感じがします。
それでいて、しっかりキャッチーで大衆的なメロディーが良い。
やっぱり彼の作る「ワクワク感」はマリオ…というかゲームに通じるものがありますよね。先が気になる期待感とか好奇心を掻き立てられる、子供時代の幻想をカタチにしたような1曲です。
また、2021年の彼といえば、やはり「結婚」ですよね。「逃げ恥」を観ていた身としては、というか観ていなくても十分驚きでした。おめでたいですね~
今後、彼はどんな音楽を創造していくのか。楽しみです!
8.抱擁(カネコアヤノ)
最近のJ-POPシーンは、星野源や藤井風、あいみょん、米津玄師など、ソロのシンガーソングライターの活躍が目立ちますね。
そんな中、音楽好きの間で近年注目されているのがカネコアヤノさんです。
70年代のフォークやロックを彷彿させる、どこか懐かしいメロディーと、クリーンで伸びやかなギターサウンドが耳に残ります。
そう、なんというかすごく耳に残る良さがあるんですよね。歌声然り。
ここでは、そんな彼女が今年リリースしたアルバム『よすが』より「抱擁」をピックアップ。
今回紹介している他の曲に比べると知名度はやや劣るかもしれませんが、この曲は是非紹介させてください。
この曲の魅力はですね…なんでしょう、わかりません。
ただ、なんか好きなんですよね。
はっぴいえんどとかサニーデイ・サービスとか、never young beachとか…その辺の音楽が好きな方は多分ハマると思うんですけど…
正直なところ、人を選ぶ音楽かなぁという気がします。ハマるかハマらないか、それを含めて一度聴いてみて欲しい。そんな楽曲です。
9.ODD TAXI(スカートとPUNPEE)
2021年4月から放送されたテレビアニメ「ODD TAXI」。
動物たちの群像コメディでありながら、骨太なミステリ的な展開が魅力的な作品でした。
というか、そっちが本質ですよね。可愛らしい見た目とは裏腹にダークでディープな世界観に引き込まれます。
さて、そんな群像劇を彩るのが同名の主題歌「ODD TAXI」。
この曲を手掛けたのは、本ブログで過去に紹介したこともあるスカート・澤部渡さんと、HipHopミュージシャン・PUNPEEさん。
人気上昇中の二人のコラボに歓喜した音楽ファンも少なくないはず…
澤部さんの透き通るような優しい歌声と、PUNPEEさんのスタイリッシュなトラックが心地よい。
こんなに滑らかに混ざり合うものかと驚きました。
とにかく「オシャレ」の一言に尽きますね。オシャレという言葉はこの曲のためにあるのではないかと思ってしまうほどです(それはさすがに大袈裟か)。
「ネオアコ×HipHop」を実現させたこの楽曲…まさに「令和版・今夜はブギーバック」といった感じです!!
アニメの映像との親和性も良いですよね。オシャレだなぁ…
この曲は是非アニメと合わせて楽しんでほしいですね~
10.BLUE SOULS(A_o)
最後に紹介するのは、2021年、私が最も衝撃を受けたこの楽曲。
アイナ・ジ・エンド(BiSH)と三船雅也(ROTH BART BARON)によるユニットA_oの「BLUE SOULS」。
ROTH BART BARONといえば音楽プロデューサー蔦谷好位置さんが「2020年のベストソング」として「極彩 | I G L (S)」を紹介し注目を集めました。
三船さんの音楽は、オルタナティブで、独特の魅力があります。
「BLUE SOULS」は、ポカリスエットのCMに起用されその映像含め、話題になりましたね。
サウンドや歌詞が持つ幻想的な世界観と、それを歌う二人の歌声。
この二人の歌声って凄いパワーがありますよね。楽曲も壮大で力強い。
日本語詞のJ-POPではあるんですけど、異国感もある…というかむしろ、どこの国の音楽でもない感じがするんですよね…
日本民謡っぽさもあるし、ヨーロッパの宗教音楽のような感じもするし、アメリカの最新のポップスっぽさもある…
どこの国の人にも、あるいは千年前の人にも伝わるような、野性的で不思議な魅力があります。
さいごに
いかがでしたか?
みなさんの好きな曲は入っていたでしょうか?
もちろん今回紹介した曲の他にも素晴らしい曲はたくさん存在します。洋楽も良い曲が沢山ありました。
もう、10曲じゃ全然足りませんよ。ただ「選ぶ楽しさ」みたいなのもありますからね~
来年はどのような曲が生まれ、流行するのでしょうか?
TikTokやYouTubeの普及により、思いもよらない曲がバズるなんてことも少なくない今。
2022年もきっと、そんな斬新な音楽たちが日本を、世界を盛り上げてくれることでしょう!
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