2000年代以降の日本のロックシーンの代表的存在、「アジカン」ことASIAN KUNG-FU GENERATION。
王道感のあるポップ感とアンダーグラウンドでオルタナティブな魅力を兼ね備えた、唯一無二の存在ですよね。
20年以上の歴史の中には多種多様な名曲が存在しています。有名な曲はもちろん、あまり知られていない隠れた名曲も!
今回はアジカンが誇る名曲の数々から、「是非聴いて欲しい」「これは外せない!」という楽曲を個人的に厳選。
ランキング形式で紹介していきます。
それではさっそく
もくじ
10位 リライト
「アジカンといえばコレ!」という方も少なくないかもしれません。
代表作『ソルファ』収録の5thシングル。
疾走感のある荒々しいサウンドと皮肉めいた歌詞に、当時のアジカンらしさを感じます。
鋭く重厚感のあるイントロが印象的ですよね。
シンプルなビートでありながら、躍動的なリズム隊がなんともアジカンらしい。
TVアニメ『鋼の錬金術師』の主題歌にも起用され、同バンド最大のヒットを記録しています。
2019年には「平成アニソン大賞」のアーティストソング賞に選出され、アニメソングとしても絶大な人気を誇る楽曲です。
2016年には再レコーディングバージョンがリリースされました。
クリアなサウンドと、ドラマチックな間奏が聴きどころです。
9位 海岸通り
ふたたび『ソルファ』からの選曲。
アコースティックなアレンジが印象的なミドルテンポナンバー。
いわゆる「アルバム曲」で、一般的な知名度はあまり高くないかもしれませんね。
しかし!
デビュー10周年記念で行われた、リクエストファン投票では数々の名曲を抑え4位に輝いた、ファン人気の高い楽曲です。
ハードなロックナンバーが多い当時のアジカンとしては、少し珍しいテイストですが、その中にもしっかりとアジカンらしさが感じられる魅惑の一曲です。
「こんな曲もやるんだ」と、この曲に心惹かれた方も少なくないのではないでしょうか。
「海岸」と聞くと、夏を連想させますがこの楽曲は「春」の歌。
爽やかな春の心地を感じさせる、穏やかなアレンジと、センチメンタルな歌詞が味わい深い。
2016年バージョンでは、ストリングスアレンジが幻想的です。
伸びやかなサウンドがなんとも心地よい。
8位 荒野を歩け
2017年リリースの24thシングル。
最近(?)の楽曲の中では、比較的高い知名度を誇ります、多分。
森見登美彦原作のアニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』の主題歌として書き下ろされました。
映画の雰囲気ともマッチした、爽やかでありながらどこか情緒的でエモーショナルな楽曲となっています。
近年のアジカンらしい、ちょっぴり湿っぽいサウンド(と声)が京都の「夜」を感じさせますね。
トリッキーな楽曲が多かった2015年の『Wonder Future』に比べると、比較的従来のアジカンらしい王道感のあるロックに仕上がっています。
シンプルなビートに乗せた前向きな歌詞とギターサウンドが、魅力的。
「荒野を歩け」というタイトルもなかなか印象的ですよね。
歌詞もポップな言葉選びが目立つものになっています。
日本語ロックのすばらしさを再認識させてくれるストレートなロックナンバーです。
映画のエンディングで流れる本曲は圧巻ですよ。
7位 ムスタング
2ndミニアルバム『未だ見ぬ明日に』収録の楽曲。
浅野いにおの漫画『ソラニン』の影響を受けて作られたこの曲は、ファン人気も高く、ベスト盤『BEST HIT AKG』にも収録されています。
静かで落ち着いた印象のイントロやAメロが、しっとりとした雨の風景を思わせます。
イントロのアルペジオ、良いですよね。
何度も繰り返されるこのフレーズが、じんわりと耳に溶け込みます。
激しい楽曲も魅力的ですが、こういったミドルテンポのシンプルなロックも捨てがたいものです。
少しダラっとしたビートに乗せた、ゴッチのボーカルが心地よい。
しかし、彼の歌には独特の魅力がありますよね。
湿り気のある低音から、突き刺すような高音まで幅が広い。
このムスタングは、それが存分に味わえる楽曲ですね。
2番終わりからのCメロ(正しくはBメロ?)→間奏の流れがドラマチックで素敵ですよね。
シンプルなメロディーと構成の中に広がる、展開が味わい深い。
文学的な歌詞と、ゴッチの歌声、くぐもったサウンド…
アジカンの様々な魅力が楽しめる深みのある一曲です。
6位 或る街の群青
「ドラマチックなアジカン」を最も味わえると思われるのがこの曲。
2006年にリリースされた9thシングルです。
それまでの『ソルファ』や『ファンクラブ』とはまた違った、壮大さを感じるアレンジがグッとくる。
クリーンなギターフレーズが冴えるイントロから、突き刺すような鋭いサウンドがアジカンらしい幕開け…
とにかくギターが楽しい楽曲。
アジカンのギターサウンドには唯一無二の魅力がありますよね。
後藤、喜多 両人が織りなすギターアンサンブルはアジカンの、「アジカンらしさ」を作る肝なのです。
次から次へと移り変わる展開が、なんとも印象的。
変則的なリズム取りやギターメロが、この楽曲の独特な世界観を創り出しています。
ギターもですが… うーん、やっぱりベース・ドラムも魅力のバンドですよね。力強くも繊細なリズムワークはアジカンならではのものです。
変拍子のフレーズもありながら、サビでは真っ直ぐなエイトビートに戻る感じがいいんだよな~
この楽曲は全編を通して、とにかく耳に残る!
複雑な展開でありながら、決して置いてけぼりにはしないポップさも兼ね備えた名曲です。
5位 君という花
2003年にリリースされた、メジャー2ndシングル。
音楽番組『JAPAN COUNTDOWN』のエンディングテーマに起用され、
アジカンの名を世に知らしめるひとつのきっかけにもなった楽曲です。
4つ打ちの軽快なリズムに乗せた、詩的な歌詞とどこか儚げなメロディー…
アジカンならではの「踊れるロック」のはじまりともいえる初期の代表曲ですね。
スタイリッシュなギターリフがなんとも印象深い!
そこに乗せた、低音のメロディーラインが美しい。
中でもサビは不思議な魅力がありますね。
思わず口ずさみたくなる、なんとも鮮やかな(それでいて淡い)メロディーです。
踊れるロックといいながらも、盛り上がる!というほど明るくはない、落ち着いた雰囲気が魅力的です。どこか淡々としているというか。
「微熱」あるいは「平熱」…そんな言葉が似合う音楽ですよね。
聴くたびに クールに感じたり、アツく感じたり…不思議な魅力があります。
いつでも聴きたくなる曲ですね!
さて、
この楽曲が収録された1stアルバム『君繋ファイブエム』は、ナンバーガールやeastern youthなどの90年代オルタナティブロックの影響を強く受けた楽曲が多いです。
中でも、ノリの良いポップな雰囲気を持ち合わせたこの「君という花」は、以降のアジカンにも多大な影響を与えた楽曲と言えるでしょう。
4位 ソラニン
2010年にリリースされた、14thシングル。
前述の「ムスタング」同様、映画『ソラニン』に使われた楽曲で、こちらの作詞は原作者・浅野いにお。2023年現在、メンバー以外の人物が作詞者としてクレジットされている唯一の作品です。
アジカンを代表する楽曲のひとつで、メジャーデビュー10周年のファン投票では1位を獲得した、ファンからの人気も高い楽曲。
2021年に投稿されたYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」でもこの楽曲を披露するなど、リライトと並びアジカンの顔とも言える一曲ですね。
高揚感のあるドラマチックなメロディーや、シンプルながらも躍動感のある色鮮やかなアレンジが光る、まさにアジカンらしいギターロック。
そこに乗せた、淡く繊細な歌詞が美しい。
ミュージシャン・アジカンと漫画家・浅野いにお、という異なる分野で活躍する芸術家のタッグにより生まれた、日本のロック史に残る名曲です。
3位 迷子犬と雨のビート
「ソラニン」も収録されている名作『マジックディスク』。
20年以上続くアジカン史上、最も「ポップ」に接近した作品ともいえるこのアルバム。
『ソルファ』に匹敵するほどの人気を誇る、アジカンを代表する名盤です。
少なくとも個人的にはそう思っています。
「J-POPとしてのアジカン」を楽しむには持って来い、って感じ。
さて、そんなマジックディスクの中でも特に色鮮やかな存在感を放っているのがこの曲。
「迷子犬と雨のビート」。
2010年リリースの15thシングル。
ブラスバンドを取り入れた厚みのあるポップなサウンドに乗せた、キャッチーなメロディ。ファンタジックな世界観がとにかく楽しい。
森見登美彦原作のアニメ『四畳半神話大系』のオープニング曲に起用されました。
『夜は短し~』へと続く、
森見登美彦(原作)×湯浅政明(監督)×中村祐介(キャラクター原案)タッグの記念すべき第1作でもあります。
不思議な世界観のアニメーションにマッチした、ポップでありながらハードなロックに仕上がっています。
アジカン当人もお気に入りの楽曲のようで、デビュー10周年記念ライブのメンバー投票では1位を獲得しました。
広く見ると疾走感のあるシンプルなロックが注目されがちなバンドですが、こういった愛くるしいパワーポップにこそアジカンの魅力が詰まっているのです。きっと。
2位 Re:Re:
アジカンといえば外せないのが「踊れるロック」。
「君という花」をはじめ、やや脱力感のあるクールなダンスロックが似合うバンドですよね。
そんなアジカンが誇る「踊れるロック」の決定版とも言えるのが、名曲「Re:Re:」。
2004年リリースの『ソルファ』に収録されているこの楽曲は、シングルではないにも関わらず高い知名度を誇る楽曲です。
高揚感のあるイントロから、高音が光るAメロがたまらない!
終始奏でられるキャッチーなギターフレーズがクセになる。
そして何と言っても素晴らしいのが、ドラム。
名ドラマー・伊地知潔の繊細ながらも力強いプレイングがかっこいい。
4つ打ちのダンスビートを基軸としながらも、全体的に細やかな演奏。
展開にもドラマ性が感じられ、非常に満足感の高い仕上がりとなっています。
長いイントロ、長い間奏… にも関わらず全く飽きを感じさせない
かといって、ゴチャつかずスッキリとまとまった絶妙なボリューム感…
う~ん、絶妙。
その人気も確かなもので、デビュー10周年のファン投票では堂々の2位を獲得。
ライブでは独自のアレンジが施され、よりドラマチックに、より盛り上がるテイストに!
是非ともライブで聴きたい楽曲のひとつですね。
ライブアレンジバージョンは、2016年にシングルとしてリリースされています。
キャリアを積んだ彼らによるディープな「Re:Re:」が楽しめますよ。
1位 転がる岩、君に朝が降る
「リライト」「ソラニン」などを抑えて個人的TOPに輝いたのはこの曲!
2008年リリースの11thシングル「転がる岩、君に朝が降る」。
アジカンファンの皆さんにとっては、「意外」でありながらも納得していただけるのではないでしょうか。
ソルファ以降、より濃厚なギターロックの道を進み始めた彼らが誇る、名作です。
繊細で透明感のあるイントロ。
夜明けを感じさせる涼やかな展開。
力強くも、どこか儚さを感じさせるメッセージ性に富んだAメロ。
エモーショナルで心に突き刺さるサビ…
そして、どこを切り取っても心惹かれる、魅惑のメロディー。
シンプルなバンドサウンドが、かえって大きなドラマを生んでいる気がします。
隙間という隙間に詰め込まれた思いが、耳にじわじわと染み込んでくる。
とにかく、あらゆるアジカンの魅力が詰まった楽曲。
アジカン史上最も美しい(筆者調べ)ロックチューンでしょう。
個人的には、「天体観測」や「若者のすべて」なんかと並ぶ、2000年代ロックの金字塔だと思っています。
この曲に勇気をもらった人、ロックに目覚めた人…たくさんいるんじゃないでしょうか?
まとめ
以上、アジカンの個人的TOP10でした。
正直、その時々によって好きな曲が結構変わったりもするのですが、今回挙げた10曲は、いつ聴いても「やっぱり好きだな」と思えるものばかりです。
また、「これからアジカンを聴こうと思っている人」への紹介としても、それなりにいいものになったと思います。
どんな人にでも、自信をもってオススメできる10曲ですね。
同じアジカンファンの人からしたら、どうなんですかね…?
みなさんの好きな曲は入っていましたか?
「あの曲が入っていない!」みたいなのは…もちろんあると思います。
だって、本当はもっと紹介したいもの。
そんなわけで、最後までご覧いただいた方、ありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいです。
みなさまの音楽ライフが、より楽しいものになりますように。