CDコレクターの私が大好きな1枚を紹介する「名盤の庭」

今回紹介するのは、放課後ティータイム(HTT)の『放課後ティータイムⅡ』!!

そもそも「放課後ティータイム」は漫画・アニメ『けいおん!』に登場する架空のバンドですが、声優さんによるライブなんかも行われていました。アニメと音楽が好きな私にとって『けいおん!』は思い出深い作品です。

『放課後ティータイムⅡ』とは

2010年10月にリリースされた、放課後ティータイムの1stフルアルバムです。

オリコンチャートでは週間1位を獲得するなど、まさに「けいおん旋風」

ストーリーやキャラクターはもちろんですが曲のクオリティの高さも『けいおん!』人気の一因だと思っています。

あと、アルバムのタイトルが良いですね。バンド名がタイトルになっているアルバムはハズレがないです(スピッツの『スピッツ』とかandymoriの『andymori』とか)。

2枚組の作品ですが、今回はDisc1のみに絞ってレビューしていきます。

Disc2(Cassette Mix)は是非ご自身でお楽しみください!

収録曲

1.いちごパフェが止まらない

頭からドエラい曲を持ってくるのがHTT。間奏でギターとベースが(オクターブ)ユニゾンでメロディーを演奏しているのが特徴的です。

ベースといえば、Aメロのエネルギッシュなプレイングがスゴイですね。とにかく動き回るのがHTTのベースラインです。特に高音が気持ちいいですね。

ギターソロ、大サビと来て最後に再びイントロのフレーズに戻ります。3分半に色々つめ込んできますね。結構忙しい曲です。

2.ぴゅあぴゅあはーと

ボリューミーなパフェが終わり、次は心地よいピアノの音色で始まるこちら。普段は埋もれがち控えめなキーボードパートですが、この曲では主役です。

…が、どうしても気になってしまう他パート。

まず、裏でなっているギター(梓)のカッティングがえげつない。「ぴゅあぴゅあはーと」な雰囲気ではありませんね。キレキレでカッコイイです。

ベースは澪ボーカルということもあり、若干おとなしめですね。

そしてアウトロで突如現れるギターソロ。HTTは本当にギターソロが多いですね。アニソン、というかJ-POPの一つの特徴だと思います。

3.Honey sweet tea time

結局他パートに食われ気味のキーボードでしたが、なんと3曲目は紬ボーカル!

どころか歌の入りはほぼキーボードのみ。 他パート含め“弾き語り”みたいなのって珍しくないですか? ついにキーボードの時代が来ましたね。

曲自体は最早お決まりのギターソロから始まります。後ろでなってるシンセが良いですね。

HTTにしてはスッキリとしたアレンジだと思います。その方が寿(琴吹)さんの声に合うのでしょうか?

4.五月雨20ラブ

特徴的なベースのフレーズで始まる1曲。全体的に落ち着いたアレンジが日笠さんの声と良くマッチします。

キーボードのロックなサウンドがカッコいいですね。激しいだけがロックじゃない、そんな印象を受けました。

この曲の魅力は何と言っても”間奏パート”です。ベース、キーボード、ギターと徐々に音が増えギターソロが終わるとその勢いのまま大サビへ…

聴かせるアレンジが素敵です。

5.ごはんはおかず

クールな曲から一転。わちゃわちゃとしたサウンドが特徴のこの曲ですが、コード進行や曲調がシンプルなので、しつこすぎないのがいいと思います。それでもインパクトは大ですが…

歌詞やメロディーはもちろん、キーボードが様々な音色を奏でているのが楽しいですね。

ベースラインやドラムなど、全体的にパンキッシュですが、キーボードとボーカルがそれを一気に可愛く変身させています。不思議なものですね。

6.ときめきシュガー

イントロから楽しい6曲目。こういう”甘い”感じの曲はやっぱり澪が歌うんですね。彼女の乙女チックな性格がこういうところからもわかって楽しいです。

「青春パンク」を彷彿とさせるAメロ。重めなギターサウンドがしびれます。

Bメロでは紬コーラスが入ります。寿さんのコーラスって声質といい、歌い方といい本当に「ちょうどいい」んですよね。絶妙です。

この曲は2番の後に、ギターソロではなくCメロがあります。このCメロ、跳ねるようなリズムが可愛いですよね。

ちなみに作編曲はシリーズのEDを担当している前澤寛之さんです。HTTは複数の作曲者が参加していますが、彼の曲が一番多いのではないでしょうか?

7.冬の日

来ました!冬の日!!

HTTファンに人気な曲というイメージがあります。私も大好きです。

ちなみに作編曲はTom-H@ckさん。「けいおんと言えばTom-H@ck!」という方も多いのではないでしょうか。オーイシマサヨシとのユニット「OxT」も人気ですよね。

跳ねるようなシャッフルビートが特徴的なノリノリの一曲。ギターのどこかフワフワしたサウンドが、1期13話「冬の日!」のフワフワとした空気を思い出させます。

OPは言うまでもないですが、この曲も歌詞に対するメロディーの当て方が絶妙です。アニメではこの詞でひと悶着あったわけですが、実際にはどちらが先に出来たのでしょうか…

8.U&I

絶大な人気を誇るこの曲。エピソードとリンクした具体的で温かい歌詞が魅力的です。作詞の表記も「平沢唯」となっていますね。

イントロ、間奏(1-2番間)、アウトロに登場するギターのメロディーが印象深いですよね。ボーカルのメロディーやコード進行もキャッチーで王道な感じがします。

今回はいわゆる「落ちサビ」もあります。そこからの盛り上がり方も良いですよね。大サビでベースラインをちょっと変えてきてるのも粋です。

わかりやすく「良い曲」と言った感じがしますが、クレイジーな曲ばかりの放課後ティータイムだからこそ、こういった王道曲がより刺さるんだと思います。ここぞとばかりに出してきた感じがズルいです。

9.天使にふれたよ!

絶大な人気を誇るこの曲(Part2)。卒業生4人が後輩・梓に向けて書いたものです。

…が本アルバムに収録されているのは5人バージョンです。

コンセプトに沿って、4人全員がメインボーカルを務めるこの曲。メロディーやコード進行にどこか合唱(というか校歌?)っぽさがありますよね(そうでもない?)。

この曲はギターソロの前にCパートがあります。ベースラインがオシャレです。その後は溜めることなく案外サラッと進みますよね。

とはいえ最後はテンポを落として余韻をもたらします。爽やかでありながら、グッと印象付ける終わり方が素敵です。

アルバム全体もここで一度、終焉といったところでしょうか。

10.Interlude

ボーナストラック。「ふわふわ時間」のインストアレンジです。

即興感のあるギターのメロディーが良いですね。実際はどうなんでしょうか。

アニメ挿入歌も多く、収録内容的には「ベストアルバム」に近い形ですが、インストでワンクッション置くことにより、アルバムに一気に流れが生まれます。

フェードアウトして、最後の曲が始まります!

11.放課後ティータイム

アルバムのトリを飾る曲、その名も「放課後ティータイム」! なんだか特別感がありますよね。

私は本作『放課後ティータイムⅡ』、そして『けいおん!!』における「アンコール」というか「カーテンコール」のような位置づけだと思っています。10曲目は「Interlude=(幕間)」ですしね!

そう考えてみると5人全員がボーカルを務めているのも「メンバー紹介」を思わせて頷けます。

中身としては…サビで半音上がるのが印象的です。楽曲全体をより明るいものにしてくれている気がします。

「落ちサビ」で”半音下げ”て、「大サビ」で”元に戻す”(半音上げる)という定番技法がありますが、この曲では「落ちサビ」で”半音上げない”(元のまま)で、「大サビ」で”半音上げる”ことでそれを実現しています。

これにより、楽曲が暗くならずに、盛り上げることが出来ているんですね…

最後に相応しい曲だと思います。

総評

アニメの挿入歌を中心に、思いのほか構成が良く練られている作品。

今までは「流れ」を意識したレビューをしてきたので、今回はどうかなぁという心配もありましたが、安心しました。

アニメの登場順に曲を並べただけだとアニメ2期の「ベストアルバム」みたいになってしまいますが、改めて聴いてみると、「流れ」もちゃんと存在していますね。

アニメの楽曲集ではなく、やっぱり「放課後ティータイムというバンドの1stフルアルバム」という位置づけなんだと思います。

そんな『放課後ティータイムⅡ』、漢字一文字で表すとしたら…

「劇」

…です!

アニメを観た方なら、曲を聴くだけで情景が思い浮かぶような、とにかく印象的な曲ばかりです。

いわゆる「キャラクターソング」ではキャラクターが代わる代わる歌うのが定番ですが、放課後ティータイムはそれを「楽器のパート」で表現しているのが特徴だと思います。

どの曲も「主役」がはっきりとしたアレンジで「寸劇」のような魅力があります。

また、可愛らしさの中にロックやパワーポップならでは激しさがあるのが斬新だと思います。一見アンバランスに思えますが、それが放課後ティータイムの魅力ですね。青春です。