2024年「ねとらぼ」で発表された「スピッツのアルバム人気ランキング」において、スペシャルアルバムを除くナンバリング作品の中で『Crispy!』が最下位(19位)という結果になりました。
多くのファンにとって意外な結果となったこのランキングについて、その理由を詳しく分析してみたいと思います。
『Crispy!』が最下位になった理由
ここからは、『Crispy!』がなぜ最下位になってしまったのかについて、個人的な意見や考察を述べていきます。
アレンジがポップ過ぎる?
『Crispy!』に対する最も多い意見が「ポップ過ぎる」というものです。
この時期のスピッツとプロデューサーの笹路さんは、「売れる」ということをかなり意識していたという話があります。その結果、90年代の歌謡曲・J-POPサウンドを追求した作品に仕上がりました。
全編を通してボリューミーなサウンドが特徴的で、ホーンセクションやストリングスを多用したアレンジが随所に見られます。
しかし、スピッツファンの多くは、この方向性にネガティブな印象を持っているようです。
というのも、「スピッツという4人組バンドの良さ」が、他のアルバムに比べてかすれてしまっている印象があります。
実際、このアルバムは「草野マサムネさんのアルバム」という感じが強く、ジャケットも草野さん単体で写っており、「草野マサムネの歌を聴け!」というイメージが前面に出ています。
ただし、ロックバンドがブラスやストリングスを取り入れること自体への批判ではありません。
ミスチルの人気アルバム『SUPERMARKET FANTASY』や、ユニコーンの「大迷惑」、フジファブリック「サーファーキング」など、こうした方向性が評価された作品は数多く存在します。
興味深いのは、スピッツの中でもブラスやストリングスを全面的に取り入れているにもかかわらず、人気の高い楽曲もあることです。
「美しい鰭」や「謝々!」などがその例で、一概にこの路線が支持されていないとは言えない複雑さがあります。
ポップなのに暗い印象
『Crispy!』のもう一つの特徴は、ポップなアレンジの割に全体的に「暗い」、どんよりした印象があることです。
特に後半の「君だけを」「多摩川」「黒い翼」あたりにその傾向が顕著に表れています。
2000年代以降のスピッツは、バンドの持つ「爽やか」な部分が支持を得ています。
この時期以降にスピッツを好きになったファンにとって、『Crispy!』の重厚で壮大な感じは期待とは異なるものだったのかもしれません。
「楓」などの人気バラード曲とも異なる、歌謡曲としての壮大さという独特な路線は、ファンの間でも評価が分かれるところです。
『Crispy!』の魅力を再発見
歌謡アルバムとしての完成度
ここまで厳しい評価について述べてきましたが、『Crispy!』には確かな魅力もあります。
「草野さんのアルバム」として見たときの完成度は素晴らしく、ボーカルの伸びやかさや歌詞の世界観など、歌謡曲アルバムとしては非常に優れた一枚です。
先ほど批判的に述べたポップなアレンジも、この文脈では良いアクセントとして機能しています。
スピッツの楽曲としてではなく、一つの音楽作品として聴いたときの完成度の高さは評価されるべきでしょう。
ライブで聴く『Crispy!』
オリジナルのアレンジに馴染めない方には、ぜひライブバージョンを聴いてもらいたいと思っています。特におすすめなのが「夏が終わる」と「君だけを」です。
「夏が終わる」は2013年の「横浜サンセット」で披露され、晩夏の野外ステージにぴったりの楽曲として生まれ変わりました。
「君だけを」は2021年の「猫ちぐらの夕べ」というライブで披露され、原曲とは異なる爽やかなアレンジが魅力的でした。
「猫ちぐらの夕べ」はブルーレイ・DVDが販売されていますので、ぜひ手に取って聴いてみてください。
ライブでの演奏を通じて、『Crispy!』の楽曲たちの新たな魅力を発見できるはずです。
まとめ
『Crispy!』がランキング最下位になった理由は、多くのファンが期待する「スピッツの姿」とかけ離れていたことにあると考えられます。
しかし、この作品でスピッツを好きになった方や、この路線を支持するファンも確実に存在します。
音楽の評価は主観的なものであり、ランキングの結果が作品の価値を決定するわけではありません。
『Crispy!』には確かな魅力があり、異なる角度から聴くことで新たな発見があるかもしれません。
スピッツの多様性を示す重要な作品として、改めて評価される日が来ることを期待したいと思います。
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