音楽活動を続けていると、作り手(メンバー)の考え、プロデューサーの考え、ファンのニーズなどに伴ってバンドの姿というのが徐々に移り変わって行ったりするものです。
バンドが成長を続けていくには、「変わらない」ということも「変わっていく」ということも、どちらも重要なことだと思います。
一般的に「転換期」と言われたりもしますよね。
バンドの転換期は、メンバーの脱退とか、所属レーベルが変わるとか、活動休止を挟むとか…色々な「節目」とともにやってきたりするものです。
特に活動期間が長いバンドは、それだけ多くの節目が存在するわけで…
今回は転換期…いわゆる「バンドのターニングポイント」について種類別に例を挙げながら書いていこうと思います!
今回紹介するアーティストはコチラです↓
- キリンジ
- フジファブリック
- くるり
- チェッカーズ
- SUPERCAR
- BUMP OFCHICKEN
①メンバー&編成が変わる
ひとつ、わかりやすいものに「バンドメンバーが変わる」というものがあります。
例えば「エイリアンズ」などで知られるキリンジ。
キリンジといえば堀込高樹と堀込泰行の兄弟からなる音楽ユニットでしたが、弟・泰行の脱退を受け2013年からは、高樹を中心としたバンド形態で活動を行っています。
それに伴って「KIRINJI」とグループ名の表記も変更しています。
ここまで来ると別のグループなのでは?とも思ってしまいますが、根っこのところは大きく変わらず、キリンジが好きな人にも比較的受け入れられやすい転換なのではないかと思います。
メンバーが変わって「せっかくなら別のことをやりたい」みたいなのって少なくないんですよね。
特に、バンド名が変わるパターンは。
例えば、「THE BLUE HEARTS」から「HIGH-LOWS」に変わったり(今はクロマニヨンズですね)、川谷絵音さんが「ゲスの極み乙女。」と「indigo la End」を両立していたり…
他には「フジファブリック」なんかもそうでしょうか。
ボーカル・志村正彦が世を去った今も、バンド名を変えず音楽活動を続けている彼らには強い意志を感じます。
曲の作り手、歌い手が変わったことで、音楽や雰囲気はガラッと変わってしまいました。
フジファブリックをよく知らない人からしてみれば完全に別のバンドですね。だって、声違うし。
とはいえ、サウンド面ではやっぱりフジファブリックなんだなぁ…という感じがするんですよね。
独特の空気感というか、結構ギターとかベースが担う部分が大きいんだなぁ、と。
志村時代にハマった人も、最近知った人にも是非両方聴いてみて欲しいです。
私はどちらのフジファブリックも好きですよ。
バンドメンバーの移り変わりといえば「くるり」を思い浮かべる方も少なくないと思います。
太古の日本の元号並みに変わります。あそこまで行くともはや「ゲストメンバー」なんじゃないかというレベルですよね…
メンバーが変わるとともに音楽のスタイルもコロコロ変わるのが、くるり。
電子音楽になったり、クラシックっぽくなったり…
アルバムによって毛色が全く異なるため、いわゆる「代表曲」というか…「くるりらしい曲」が存在しないんですよね。
「くるりらしい曲が存在しない」というのが、なんとも「くるりらしい」という感じがします。
私はデビュー曲「東京」でくるりの存在を知りファンになりましたが、同じくくるりファンの友人は「琥珀色の街、上海蟹の朝」から入ったそう…(彼はケツメイシが好きだったりします)
転換期とかでは語れない、ちょっと特殊な存在ですよね、くるりは。
②「作り手」が変わる
二つ目は、作詞・作曲者やプロデューサーが変わることで、音楽に大きな変化が生じるタイプ。
具体的な例としては、チェッカーズなんかがそうかもしれません。
アイドル×バンドとしての絶妙なバランスで、唯一無二の存在となった伝説のバンドですね。
とはいえ彼らはもともと、アイドルとして結成されたわけではないんですよ。
「普通のバンドだったけど、アイドルとして売り出した」…といいますか…
デビューから数年は、メンバーではなく外部の名手たちが手掛けた楽曲をリリースしていました。
「ギザギザハートの子守歌」とか「涙のリクエスト」とか。
数々の名曲と、ビジュアル、斬新なスタイルで、音楽史に残る「社会現象」を巻き起こしました。
ところが、デビュー5年目に発表した5thアルバム『GO』では、全ての曲をメンバー自身が手掛けるというアプローチを行ったのです。
本作は、それまでのアイドル的でポップな…いわゆる「売れ線」をついた楽曲群とは異なり、メンバーの好みやルーツが反映されたよりロックなテイストとなっています。
この転換が意味するものは…チェッカーズの「ポテンシャルの高さ」ですね。
チェッカーズは「一流アイドルでありながら、一流バンドでもある」ということを世に知らしめることになりました。
藤井兄弟が作詞作曲し、バンド自らが編曲を行った「NANA」は、バンドの代表曲のひとつとも言えるでしょう。
コチラに関しては前述のフジファブリックも当てはまりますね。
志村さんから、山内さんへボーカルと共に作詞作曲が変わっています。
よりポップな面が強くなりましたね、爽やかといいますか。
とはいえ毒っ気みたいなのは両者に共通していたりしますね…
ちなみに、3rdアルバム『TEENAGER』では、山内さんの曲も志村さんの曲もどちらも楽しむことが出来ます。あのアルバムは両フジファブリックを繋ぐ大きな存在だと思います。
③音楽性が変わる
最後は同じメンバー、同じ作り手でありながら、バンドの音楽性が大きく変わったというパターンです。
「SUPERCAR(スーパーカー)」なんかが当てはまると思います。
スーパーカーといえば、近年CMに使われ話題となった「Strobolights」なんかが有名ですね。
浮遊感のあるエレクトロサウンドに乗せた甘い歌声が特徴的ですが、これはいわゆる「後期」のスタイルなんですよね。
1997年のデビュー当時(あるいはそれ以前は)、シンプルなギターロックのスタイルをとっていました。
いわゆる「前期」ですね。
私の周りにもスーパーカー(バンドの方)好きが結構いるのですが…「初期の頃が好き」とか「後半のアルバムが好き」とか、結構分かれるところだったりします。
(初期はこんな↓かんじ)
これと似たような変化があったのが「BUMP OF CHICKEN」です。
デビュー当時(天体観測とか)は、シンプルなギターロックが中心でしたが、アルバム「RAY」辺りからは積極的にエレクトロな要素を取り入れていますね。
私は最初に聴いたバンプのCDが「Butterflies」と「ユグドラシル」だったので「…どっちが真のバンプなんだ??」と混乱したものです…
バンプ…というか藤原基央さんが書く、歌詞とかメロディーってシンプルなサウンドでも壮大なサウンドでも、上手くマッチするんですよね。
というか、サウンドに合わせて変えているのかもしれません。というか、歌詞の世界観が変わってきたからサウンドも変わってきたのかも…?
彼、そしてバンドのセンスの良さを感じます。
とはいえどちらのバンドにも言えるのが「急に変わった」というわけではないということです。
リリース順にアルバムを聴いていくと徐々に変化していったことがよくわかります。
1stから順に聴いていくと「あぁ、どっちもちゃんと真のバンプなんだなぁ」と。
(真のバンプってなんだよ)
個人的には「変わっている最中」くらいの時期が結構好きだったりもします、ちょっとソワソワするというか…
(スーパーカーは「Futurama」、バンプは「COSMONAUT」あたり?)
新しい姿を見せてくれるというのは、ファンとしては嬉しいことだったりもします。
バンプなんかは最近、そこから更に、”戻った”感じがしますよね。
くるりの『アンテナ』みたいな「お帰り感」があります(伝わらない方、ごめんなさい…)
まとめ
こんな感じで、バンドには「ターニングポイント」が存在したりしています。
音楽性…というか「バンドの色」がガラッと変わったり。
これについて、どう思うかは…人それぞれあっていいと思いますよ。
バンドにターニングポイントがあるように、聴き手(ファン)にもターニングポイントがあっていいわけです。
同じファンでも、ポジション…というかスタンスみたいなのは人によって異なるものです。
変化を受け入れなくてはいけない、というわけではありませんよね。
音楽は常に自由であって欲しいものです。作るほうも、聴くほうも。
キリンジ、フジファブリック…などはコチラの記事でも取り上げていますよ
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