2022年、代表作『日常』の続編がスタートし、大注目の漫画家・あらゐけいいち氏。
その裏で2021年からゲッサン、およびYouTubeで始動したのが『雨宮さん』。
同氏が手掛ける漫画・アニメ作品です。
漫画は月間連載、完全自主制作(音楽まで!)のアニメも不定期更新と、日常新章と並行して展開されています。なんというバイタリティ…
そんな『雨宮さん』ですが…
なんと2022年12月、待望の単行本第1巻が発売されました!
通常版に加え、ハードカバーの特装版も!この感じ、いいですね~

今回は、単行本1巻を読んでの感想をツラツラ書いていこうと思います。
ネタバレもあったりするので、まだ読んでいないよ!という方は是非読んでからご覧になってくださいね。
1.上陸
本作の主人公・雨宮(あめみや)さんが、舞台となる「島」に上陸するお話。
雨宮さんはセーラー服姿の高校生です。
『CITY』では舞台が大学でしたが、今回は『日常』と同じ高校生のお話なんですね。
つまりは学園モノということになるのでしょうか…
…というかこの子、学校以外でも制服着てるんですね。この紺色のセーラー服が彼女のトレードマークでもあるようです。
青いショートヘアに青い制服がなんとも爽やかな印象です。
性格もなんというか、清々しいですよね。好きです。
さてさて、中身についてもじっくり見ていきますよ!
まず、1コマ目のフェリー
…「さんふらわあ」ですよね…やっぱりフェリーといえばコレだよなぁ
そして「トグルスイッチ」。
雨宮さんは、好奇心旺盛なゆえちょっぴり非常識なところがあるようです。感性に正直ですね…
「玉羊羹」といい、この辺の絶妙なラインがあらゐ先生、って感じしますよね。
船旅も終わり、拠点となる「雨宮ハウス」へ。
屋根に看板が付いていたり提灯が下げられていたり、なにかのお店?という感じもしますが、多分そういうわけではなさそうです。
というか、僻地にもほどがある!
話の流れからするとおじいちゃんの家なんですよね。
どういう経緯かは知りませんが、なんとも適当なおじいちゃん…これは血筋なのかな?
雨宮さんは「ひとりの時間」が好きなタイプ。わかるなぁ
自分の気持ちに正直に、自分の「好き」に正直でいられる時間って、やっぱり必要ですよね。
2.新しいスニーカー
新しいスニーカーの匂いを嗅いで昇天する雨宮さん。
みなさんはどうですか?あの匂い。
私は…ちょっと、苦手かもしれません…笑
匂いって結構、人それぞれ好き嫌いがありますよね。
灯油のにおいとか、お線香のにおいとか…
花のにおいとかも好きって人もいれば、苦手って人もいますよね。
香水とかも、キツ過ぎるとか…
他の人がどう感じるか、というのも大切ですが「私は好き」という気持ちを大切にできる彼女、美しいですよね。
あらゐ先生の作品にはそういったキャラクターが数多く登場します。
『日常』の「麻衣」ちゃんとか、『CITY』に登場する「まつり」と「えっちゃん」とかね。
これはきっと彼が大切にしている気持ちでもあるんだろうなぁ。その心が唯一無二の「あらゐワールド」を生み出しているのかもしれませんね。
3.カマドクロ登場
ついに登場!…みたいなタイトルですが、カマドクロって何?
まぁ、その名の通りカマを持った、顔にドクロが付いた生き物なんですけど…
カマにドクロといえば『ヘルベチカスタンダード』に登場する「死神」を思い浮かべますが、彼とは別人。
舞台は、西部劇でしか見たことがないBAR。
カマドクロはどうやら指名手配犯のようで…多額の懸賞金がかけられています。
今回の「好き」は…
「あちらのお客様から。」
う~ん、確かに一度は言われてみたい憧れのセリフなの…かも?
実際のバーでは、こういうの本当にあるんですかね?
全国のバーテンダーのみなさん、「あちらのお客様から」と言ったことがある方はご一報ください。
さてさて、思いもよらず賞金首を取っ付かまえた雨宮さんは、みごと懸賞金を獲得。
これで今後の島ライフも安泰ですね!
というか、雨宮さんは未成年では…と思いきや飲んでいるのはヤク◯ト。
どうでもいいですが、あの細いストローは使わないタイプなんですね。
4.バスに捨てる所なし
雨宮さんがただただバスの中で「好き」を味わう話。
路線バスのアナウンス、確かに良いですよね。わかるな~
電車なんかより、もっとローカル。とにかく「内輪感」が強い停留所の名前や放送が良いんです。
「◯◯病院前」とか、「~町△丁目」とか。
もっと言うと、商業施設の名前がバス停になっていたりもしますよね。お店が変わったらどうなるんだろう…とか思ったり。
あとは、「◯◯にお越しの方はこちらで降りられると便利です」みたいな、広告アナウンスね。
行ったことは無いけど「キャッチコピーだけ知ってる」お店、近所にもあります。
そして忘れてはいけないのが、「次降ります」のブザー。
見事に「ピンポーーン」というオノマトペ通りの音ですよね。100点のピンポンです。
ちょっと丸みのある音がバスの温かさやほっこり感を助長している気がします。
そんなこんなで、賞金を担いで帰路に着く雨宮さんなのでした。
5.音の世界
賞金を使っての、素朴な贅沢三昧。
良い音を奏でる「悦音」を雇い、ご満悦の様子。
ウインナーのパキッって音…良いですよね。
値段が高ければ高いほど、良い音が鳴る気がするのがウインナー。まるでヴァイオリンのよう…
G◯CKTさんなら音だけでウインナーも聴き分けることができそうですね…
やっぱり「ウインナー」と言うだけあって、良い音楽を奏でてくれます。ドイツのヴルストはバロックな音が鳴るのかも…
さて、そんなしょうもない話は置いておいて…
みなさんは好きな「音」、ありますか?
私は、カウベルの音が好きです。あんまり聴く機会無いけど…
日常の身近なものでいうと…
お菓子の箱(ムーンラ◯トとか)なんかに付いてるミシン目の開け口を「べべべべべべ」と開けるのが好きです。手先の感触も含めて。
あとは、病院の休憩スペースとか旅館の廊下にある古めの自動販売機が、静寂の中で「ヴ―――――ン」と唸っているのも好きです。
…どうなんだろう、共感は得られるのだろうか…
6.学校
ドキドキとワクワクでいっぱいの転校初日。
自分の価値観や美学を隠して周りに溶け込む…
学校生活を円満に過ごすための彼女なりの努力や葛藤がみられるエピソードです。
「出る杭は打たれる」なんて言葉があるように、社会というのはいかに「ふつう」に見られるかというものが、なんだか重視されがちな気がしています。
特に、学校生活はね。
それでも、「自分の好きを共有できる人に出会えるかも」と淡い期待を抱いてしまう雨宮さん。
結局、仲良くなる上で大切なのって、馬が合うかどうかなんですよね。
同じものを楽しいと思い、同じことで笑い合う…そんな仲間こそが親友なのでしょうね。
心を開いて、本当に打ち解け合うためには、ある程度の積極性も必要なわけでして…うーん、友達づくりって難しい!
期待で胸を躍らせる雨宮さん。ついに教室に到着、そこには…
なんとも個性豊かなクラスメートたち!
これは、さすがのあらゐワールド。ただの平和な学園モノでは済まなそうな予感です。
7.級友
宿題を忘れた雨宮さん…とクラスメートたち。
一致団結して、ピンチを乗り切ろうと意気込む「1-1」の生徒達ですが…
…まぁ、そう上手くはいかないよね。
さて、今回のお話で1年1組クラスメート全員の名前(ニックネーム??)が判明します。
・学級委員長:1-1をまとめるリーダー的存在。なんとなく『CITY』に登場するサッカー部の部長を思わせる。熱血な印象。真面目そうだが、宿題は忘れた。
・天狗:その名の通り天狗のお面をつけた少年。一人称はワシ。それ以外の特徴は無い。たぶんお面を取ったらフツーの少年。フツーに宿題を忘れた。
・オバケ:その名の通りオバケ。いや、オバケの皮を被った人。一人称は僕。たぶん普通の人。とにかく動きづらそう。ちなみに宿題を忘れた。
・ガクシャ:眼鏡キャラにありがちなあだ名。一人称は私。分厚い本を持っていて、それっぽい帽子を被っている。頭が良いかは不明だが、宿題は忘れた。
・お侍:侍ではなく、お侍。お侍なので髷(まげ)を結って帯刀している。お侍なので一人称は拙者。義理堅そうな印象だが、宿題は忘れた。
・メドゥーサ:ちょっぴりシャイな感じの女の子。その名の通りメドゥーサ。級友を石化しないように目を閉じている。メドゥーサにも宿題が課せられるようだが、忘れたらしい。
・ホーランドロップ:たぶんホーランドロップイヤーな女の子。朗らかで楽観的な雰囲気。サラサラヘアーと尻尾がトレードマーク。ニコニコしているが宿題はもちろん忘れた。
・吟遊詩人:おおよそRPGでしか聞いたことがないあだ名の少女。竪琴をポロンと鳴らす、吟遊詩人なので。反省の色を浮かべているようだ、宿題を忘れたので。
…とまぁ、こんな感じです。
いや~濃い。
『日常』の時定高校の生徒も濃かったですが、ちょっと比じゃないですね。
あの学校は、あくまでも人間しかいないですからね(なのを除いて)。
まぁ、超人ばかりですが…
もちろんオバケや天狗は人間ですが、メドゥーサとホーランドロップに限っては、どうやらそうではないようで…
とはいえ、みんな気にせず普通に仲良くやっている感じが、この学校の、この世界の懐の広さを感じさせます。これなら雨宮さんも安心ですね。
そもそも「変わっている」という自覚や認識があるのかも怪しいレベル。雨宮さんがまさかまさかの常識人ポジションに落ち着きそう…
ちなみにファーストインプレッションでは、吟遊詩人が気に入りました。
だって、あまりにも渋いじゃないですか。
オバケとかお侍みたいに、わかりやすいインパクトがあるわけではないのに、なぜか負けてない。
あと、竪琴のせいでそう呼ばれているだけで吟遊詩人っぽいことはひとつもしていないという…
竪琴を持っているとはいえ、基本的には普通の少女(あらゐ先生作品の中では)ですからね。
なんか、今後どのような活躍をするのかが全く読めない。
そして次に気になったのがもちろんメドゥーサ。
天狗のように、メドゥーサのかつらを被っている…というわけではなく、本物のメドゥーサのようです。
たぶん、とっても優しい子なんですよ。仲間想いで、献身的で…そんなメドゥーサがいても良いですよね。あと、可愛い。
鏡を向けられて自滅しているところが愛おしいですね。
あ、その後のオバケも可愛いです。
8.メドゥーサ
お次は、雨宮さんのとっても可愛いクラスメイト「メドゥーサ」がメインのお話。
7話でも石化能力を披露(自滅)していましたが、いやぁ…本当にメドゥーサなんだなぁ。
そして、あのうにょうにょ…気持ちいいんですね。知りませんでした。
なんだろう…やっぱりヘビっぽい感触なんでしょうけど…温かいのかな、冷たいのかな…
メドゥーサと目が合ってしまい、石になってしまった雨宮さんでしたが、学級委員長が作った「金の針」で無事復活。
金の針…ファイナルファンタジーシリーズに登場する石化を治すアイテムですね。
そんなものを何故彼が作れるのかは謎ですが(彼曰く”天才だから”)、この金の針のおかげで平和な学校生活を送れているのは間違いないようです。
アイマスクも突き抜けるメドゥーサの石化能力…凄まじいですね。
気をつかうことが多そうで、悩ましい特殊能力だなぁ。
それもあって彼女は引っ込み思案、というか、ああいう性格なのでしょう…
自分の能力に嘆き、涙と鼻水を流す姿が愛おしい。
しかし、クラスメイトは9人ですか。
『のんのんびより』ほどではないですが、なかなかの田舎っぷり…
というか、雨宮さん以外の8人も島で暮らしているんでしょうか??
でも高校が建つほどの人口…いやいやそんなに真面目に考えてもしょうがない。
メドゥーサも暮らす島、その全貌が気になるところ!
今回はここまで
というわけで、あらゐけいいち『雨宮さん①』の感想…長くなりそうなので今回はここまで!
あらゐ先生のセンスが光る、温かみのある漫画ですね。ほっこり。
そして、相変わらずの個性豊かなキャラクターたち。雨宮さんとクラスメイトの絡みも楽しみですね。
メドゥーサ、たくさん登場してくれると嬉しいな。
次回は「後編」として、第9話以降を見ていきますよ。お楽しみに
『雨宮さん』と並行して連載中の漫画『日常』。
ついに「11巻」が発売されました!
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