2022年の『ぼっち・ざ・ろっく!』旋風も収まらぬ2024年。
新たなのバンドアニメとして大きな話題を集めているのがアニメ『ガールズバンドクライ』。
かつての「けいおん!」や「ぼざろ!」とは一味も二味も異なる世界観。
「進路」と「バンド活動」というリアルなぶつかり合いが、シビアで味のある世界を作り出していますね。
3DCDで描かれる迫力あるアニメーションも見どころです。
そんな「ガルクラ」のひとつの注目ポイントといえば、毎回の「サブタイトル」。
1話から最終話まで、あらゆる日本のロックミュージックのタイトルが元ネタとなっています。
これが結構マニアックなんですよね…わりと気づいていない方も多いのではないでしょうか?
(2話で勘づいた方が多そうですね)
今回は、サブタイトルの元ネタの楽曲をサックリ紹介していきます。
1話「東京ワッショイ」
タイトルの元ネタは、ミュージシャン「遠藤賢司」の同名楽曲。
1979年のリリースですか… さっそく渋いところから持ってきましたね…
いわゆる「ロックンロール!」といったプレイングと、叫ぶようなパワーのある歌声が印象的な楽曲ですね。
メッセージ性の強いストレートでエネルギッシュな音楽性で、50年以上日本のロックシーンを牽引したレジェンドですね。『夢よ叫べ』などの作品が有名です。
遠藤賢司といえば、漫画・映画『20世紀少年』の主人公・遠藤健児(ケンヂ)のモチーフになったエピソードも有名です。
(今思うとあれもある意味ロックを題材にした漫画だよなぁ…)
なんとなく硬派なイメージですが、意外なところで漫画との接点があるミュージシャンですね。
2話「夜行性の生き物3匹」
元ネタは、バンド「ゆらゆら帝国」の楽曲。
阿波踊りのような和風なリズムで刻まれるハードなロックナンバーです。
Vo.坂本さんのやさぐれたような歌い方もクセになる。
「およそ3匹」とか、「3分間のこの曲」といいつつ実際は4分近くあるところとか、
なんかいい加減な感じの歌詞もなんとなく「ゆらゆら帝国」のつかみどころの無さが現れている気がします。
そんなゆらゆら帝国といえば、「完成してしまった」という理由で解散したことでも知られる伝説的な存在ですね。
漫画「ぼっち・ざ・ろっく!」では扉絵でパロディーが描かれるなど、ロックファンには未だ根強い人気を誇る名曲です。
3話「ズッコケ問答」
元ネタは、バンド「eastern youth」の楽曲。
疾走感のある王道ロックナンバー…うーん、いい曲だよなぁ。
イースタンユース…北海道が生んだ知る人ぞ知る名ロックバンドですね。
代表曲は「夏の日の午後」あたりでしょうか?本曲が収録されたアルバム『旅路ニ季節ガ燃エ落チル』は多くのロックファンに愛される名作ですね。
詩的な歌詞表現と、無骨なロックサウンドが融合した、日本語ロックのいち到達点とも呼べるバンドじゃないでしょうか?
アジカンやナンバーガールなど数多くのバンドに影響を与えました。
日本の「エモ」シーンの草分け的存在でもあります。
4話「感謝(驚)」
元ネタは、バンド「フィッシュマンズ」の楽曲。
軽快なリズムにのせたサイケデリックなサウンドと、脱力感のあるボーカルがクセになる1曲。
94年のリリースなので、世田谷三部作よりも前の作品ですね。
…世田谷三部作というのはフィッシュマンズの90年代後期のアルバム3作を指したものです。
「Rate Your Music」の『史上最高の日本の音楽アルバム』企画では、3作ともがTOP30にランクインするなど、近年になって世界的に評価されるようになった印象があります。
というか、ようやく世界が彼らに追いついたというか…
本当に30年前の作品なのか?と疑ってしまうほどクリアで立体感のある音響…日本における「👍ミュージック」の先駆けかもしれません。
5話「歌声よおこれ」
元ネタは、スリーピースバンド「サンボマスター」の4thシングル。
暑苦しくも爽やかな青春ロックミュージック…まさにサンボマスターらしい一曲。
本作が収録されている2ndアルバム『サンボマスターは君に語りかける』は多くのロックファンを虜にした名盤ですね。
ナルトの主題歌にもなった「青春狂騒曲」なんかも収録されています。
CD音源ももちろん素晴らしいですが、ライブでの熱量とプレイングはさらに目を見張るものがありますね。
最近だとYouTube「THE FIRST TAKE」にも登場し話題を集めました。
泥臭いかっこよさ…ガルクラに通じるものを感じます。
6話「はぐれ者賛歌」
元ネタは、「フラカン」こと「フラワーカンパニーズ」の楽曲。
フラカンらしい、軽快なリズムに乗せた、優しさに溢れた前向きな応援歌です。
フラカンの曲は…なんだろう…ものすごく沁みるんだよなぁ
大人になると特に。
シンプルなメロディーに乗せた真っ直ぐな歌詞。そしてそれを歌う鈴木圭介さんのしゃがれ声…
すべてがじんわりと耳の奥に、心の奥底に染み渡る、そんな感じ。
「大人の子守歌」や「元少年の歌」といった、「大人」のための応援歌が数多く存在します。
こちらもサンボマスター同様「THE FIRST TAKE」に登場し、話題となっていました。
代表曲である「深夜高速」を披露していましたね。
7話「名前をつけてやる」
元ネタは、バンド「スピッツ」の楽曲およびアルバムタイトル。
アンニュイでダラリとしたリズムに乗せた、不思議な世界観のフワフワした歌詞。
それでいてリズミカルでポップなベースラインと、サイケデリックでハードなギターが目立つ…
初期のスピッツらしい毒の効いた作風です。
アルバム『名前をつけてやる』といえば、将棋棋士の藤井聡太さんが好きなアルバムとして名前を挙げたことがありました。
初期の作品で、結構マイナーな存在ですが、ファンからの人気は高い、いわゆる「隠れた名作」です。
当時、ボーカルの草野さんが「シューゲイズ」にハマっていたということもあって、この作品は全体的にその色が濃く表れています。
日本のシューゲイザーシーンにおいても重要な存在かもしれません。
8話「もしも君がなくならば」
元ネタは、「GOING STEADY」および「銀杏BOYZ」の楽曲。
純真無垢なハイパーどストレート・ラブソング。
力強い轟音のギターサウンドと叫びがガツンと響く一曲です。
オリジナルは”ゴイステ”時代の2001年にリリースされたものですが、銀杏BOYZとしてリリースされたバージョンの方が有名なのかもしれません…
2000年代の「青春パンク」ブームの代表的なバンドですね。
ストレートでありながら、テクニカルなパンクサウンドに乗せた、
ちょっぴり…というかかなり過激な歌詞が特徴的。
平成アニメのトレンドである「セカイ系」を彷彿させる、「君」と「僕」の壮大なドラマを描いたラブソングが人気です。青臭くも爽やか!!
9話「欠けた月が出ていた」
元ネタは、「The Groovers」の楽曲… らしいです。
うーん、この曲、知りませんでした。
そもそもThe Groovers自体、名前は聞いたことがある程度の認知なんですよね。
ギリギリ「無敵の日々」だけ知ってるかな?
これはどうなんだろう?
ガルクラがマニアックなところから拾ってきたのか、私の知識不足なのか。
何はともあれ聴いてみました。
90年代の王道J-ロックな感じですね。
アコギの爽やかなサウンドと、ちょっと泥臭いボーカルが良い。
なんだろう…令和の時代にはあまりいないタイプじゃないでしょうか?
非常に90年代らしいロックミュージックです。
The Groovers、ちょっと気になってきました。
10話「ワンダーフォーゲル」
元ネタは、「くるり」の楽曲。
…いや、他にも同名の楽曲は沢山ありますが、きっとくるりでしょう。
邦ロック界のカリスマバンド・くるりの代表作ですね。2001年リリースでしたかね?
打ち込みのドラムに乗せた、瑞々しいギターサウンドが素晴らしい。
岸田さんの素朴な歌声ともよくマッチしているんですよね。
本曲が収録された『TEAM ROCK』は2000年代の邦ロックを代表する名作ですね。
「ばらの花」とかも収録されていますし。
打ち込みのエレクトロな要素と、生音のギターロックを融合した当時のくるりの最先端の音楽性は、2000年代以降のミクスチャーロックに多大な影響を与えました。
11話「世界のまん中」
元ネタは、伝説のバンド「THE BLUE HEARTS」の楽曲。
1987年の1stアルバムに収録されています。
疾走感のあるエイトビートに乗せたシンプルなコードワーク。
そして、シンプルながら力強いメッセージ性に富んだ歌詞。
うーん…これぞブルーハーツ!!
個人的には後期の作品(『STICK OUT』辺り)好きなのですが、
やっぱり初期には初期の魅力がありますよね。
なんだろう、この…疾走感というか、エネルギッシュな感じ。
2分ちょっとの短い時間に彼らの魅力が詰まった名曲です。
ブルーハーツ、サブスク解禁してくれないかな…
結構、今の若い世代が聴いてもグッとくる曲が多いと思うんですよね。
12話「空がまた暗くなる」
元ネタは、これまたレジェンドバンド「RCサクセション」の楽曲。
1990年リリース…サクセションのキャリアの中では後の方の作品ですね。
シンプルなバンドサウンドに乗せたウェットに富んだ清志郎のボーカルがいい味出してます。
パワフルでゴキゲンなロックンロールもかっこいいですが、こういうしっとりとした楽曲で見せる彼の姿もまた美しい。
一見ネガティブなイメージのタイトルですが、そっと背中を押してくれるような歌詞がまたいいんだよなぁ…
この記事を書きながら久しぶりに聴きましたが、この曲いいですね。
フラワーカンパニーズの時にも書きましたが、大人になると良さがわかる曲ってありますよね。
なんだろおう、本当に言いたいことが、ようやく伝わってくる感じ。
13話「ロックンロールは鳴り止まないっ」
最終話の元ネタは、平成のカリスマバンド「神聖かまってちゃん」の楽曲。
彼らの代表曲ですね。
「ロックンロール~」というタイトルには一見不釣り合いな、ポップなピアノのフレーズから始まるイントロ…
かと思えば次の瞬間、轟音のギターが鋭く響く… これ、結構衝撃でした。
なんとうか、こんなアレンジありなんだ…という感じ。
そこに乗せた、の子さんのボーカル…というか語り??というか叫び??というか…
これもまた痺れる。
なんだろう…まったく気取らないというか飾り気のない等身大の叫びが、日本中のロック少年少女のハートに火をつけてしまったんだろうな…
インターネットを中心に話題を集めた平成サブカルロックの象徴的バンドですよね。
結構、独自のスタイルを取り続けている感じがします。
アニメ『進撃の巨人』のエンディングに起用された「夕暮れの鳥」や、
かなりハードな歌詞が響く「夕方のピアノ」など、独自の世界観が光る楽曲ばかりです。
「ロックンロールは鳴り止まないっ」
なんとうか、ここまでロックンロールを体現したタイトルってないんじゃないでしょうか?
楽曲としても、アニメとしても。
ロックンロールを聴いて、ロックンロールが始まる のです。
まとめ
今回は、ガルクラのサブタイトルの元ネタをまとめてきました。
アニメの内容よりも、元ネタの解説に特化した記事となってしまいましたね。
いや、いいんだ。だってこの記事を読んでる人はアニメを観た人ばかりだろうし。
これを機に、サブタイトルに起用された楽曲やミュージシャンは勿論、
いろいろなロックミュージックに触れて欲しいですね。
それが、アニメスタッフの、原作者のひとつの願いだと思いますよ。
なんとなく2期があると勝手に思い込んでいますが、次回はどんな曲を引っ張ってくるのか。
アニメのストーリーはもちろん、そちらも楽しみなところです。
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