2022年、多くのロックファンに衝撃を与えたアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』。
きらら作品特有の「日常モノ」でありながら、バンドやライブハウスのアンダーグラウンドな部分を積極的に描いたコアなアニメとなっていました。
OP・EDのみならず劇中でも数多くの楽曲がライブ映像付きで披露され、それらも人気を集めています。
ロックが好きで見始めた、という人にとっては最高のアニメだったといえるのではないでしょうか?
結束バンド1stフルアルバム『結束バンド』についてはコチラ
その一方で、「ぼっち・ざ・ろっく!を観てロックに興味を持った」という方も存在するはず。
「ぼざろ観てギター始めました!」とかね。
今回は、ぼざろの影響で、あるいは劇中版バンド「結束バンド」の曲を聴いてロックに興味を持った方にオススメしたいアーティスト及びアルバムを紹介!
ぼざろに関連するバンドや、ロックの入口に持って来いの名作…などなど、
ロックの扉を開くためのきっかけになればと思います。
1.ASIAN KUNG-FU GENERATION『ソルファ』
まずは、こちら。
劇中バンド「結束バンド」メンバーの名前の由来にもなっているロックバンド「アジカン」ことASIAN KUNG-FU GENERATION。
2000年以降のJ-ROCKシーンを牽引する大人気バンドですね。
ハガレンやNARUTOの主題歌を手掛けるなど、アニメファンの間でも高い知名度を誇ります。
アニメ最終話では名曲「転がる岩、君に朝が降る」のカバーが披露されましたね。
さて、そんなアジカンから2ndアルバム『ソルファ』を紹介。
代表曲「リライト」「君の街まで」をはじめ、名曲ぞろいの一枚です。
これからアジカンを聴く人にオススメの、まさにアジカンの顔とも呼べるアルバムです。
キャッチーで踊れる曲から、クールでオルタナティブなロックミュージックまで…とにかくアジカンの、そして「ギターロック」のあらゆる面を体感できる作品。
J-ROCKの入門にもってこいだと思います。
個人的には「サイレン」なんかがオススメですね。「アジカンのロック」というか、ドラマチックでスタイリッシュなロックミュージック。
普段ロックを聴かない人には新鮮に感じられるんじゃないでしょうか、こういう音楽は。
2.ASIAN KUNG-FU GENERATION『マジックディスク』
アジカンで最も有名なアルバムは恐らく『ソルファ』。
でも、初心者に一番オススメなのはこちらのアルバムだったりします。
「迷子犬と雨のビート」や「架空生物のブルース」などファン人気の高い楽曲が多数収録されています。アジカンファンが本当に聴いて欲しいのはひょっとするとこっちなのかも…
そういう意味でもオススメなんですけど、一番はポップさですね。
このアルバムは非常に聴きやすい。特にロックミュージックに馴染みのない人でも「良い曲だな」と思えるような取っ付きやすさがあります。
シンプルなバンドサウンドがメインのアジカンですが、このアルバムではブラスバンド等の賑やかなアレンジが目立ちます。なんというか、全体的に明るい感じ。
あんまり知らない人からすると「こんな曲もあるんだ!」と驚くはず。
ロックバンドアジカンが、ポップミュージックに最も接近した一枚ともいえるでしょう。
アジカンの幅の広さや、ポップセンスを味わえる作品です。
3.BUMP OF CHICKEN『ユグドラシル』
アジカンとともに2000年代のロックシーンを彩る国民的ロックバンド・BUMP OF CHICKEN。
彼らのアルバムからは『ユグドラシル』を。
多分、これからバンプを聴く人に勧めるべきは「天体観測」が入った『jupiter』だったり、『RAY』とかだと思うんですけど、
なぜこれを選んだかというと、『ユグドラシル』が最も「結束バンド」の音楽性に近いから。
近年(『RAY』以降)はエレクトロサウンドを積極的に取り入れていますからね。
ギター、ベース、ドラムのみのシンプルな構成でかき鳴らす、という意味ではそれ以前のバンプが近いのかな、と。
そうなれば自然と(?)『ユグドラシル』を選ぶことになるんです。
初期の荒々しさを残しつつも格段に鮮明になったアレンジが美しい。
ギターの音もソリッドでハードなものが多く、ぼっちちゃんのギターが好きな人にはピッタリだと思います。
「車輪の唄」のようなアコギのロックをたくさん聴けるのも良い。『結束バンド』では無かったですからね、そういうの。
4.サンボマスター『僕と君の全てをロックンロールと呼べ』
4枚目はコチラ。
真っ直ぐで力強い、日本の「ロックンロール」の代名詞・サンボマスター。
2000年代以降、エレクトロミュージックやジャズ等の要素を取り入れた「ミクスチャーロック」が流行する中、あえてシンプルなバンドサウンドで独自のロックを展開する姿がカッコいい。
激しく衝動的なサウンドに乗せたキャッチーなメロディが心を揺さぶります。
ギター・ドラム・ベースが織りなす厚みのあるアレンジも楽しげ。
この辺は結束バンドにも通じるものがありますね。
5thアルバム『きみのためにつよくなりたい』には、「できっこないを やらなくちゃ」「世界をかえさせておくれよ」といった代表曲をはじめエネルギッシュな13曲が収録されています。
個人的に好きなのは「君を守って 君を愛して」。
彼らの曲はいつでも前向きで、温かくて、優しくて、かっこいい。
このアルバムのおすすめポイントは、なんといっても…「踊れる」ところ!
「星座になれたら」や「なにが悪い」なんかが好きな人に特にオススメの一枚です。
ちなみにジャケットを手掛けているのは『ソラニン』原作者・浅野いにおさんです。
5.SUPER BEAVER『歓声前夜』
リスナーの背中を押してくれるロック…それはサンボマスターに限ったことではありません。
「泣けるロック」と聞いてSUPER BEAVERを思い浮かべる方も少なくないのではないでしょうか。
力強いサウンドに乗せた、等身大で真っ直ぐなメッセージがグッと来る。
ストレートな言葉を使っているのに、なぜかどれも新鮮なんですよ。
切り口が新しかったり、ワードセンスだったり…
間違いなく「SUPER BEAVERのことば」で歌われる、SUPER BEAVERの「応援歌」「ラブソング」たち。
それを思う存分味わえるのが6thアルバム『歓声前夜』。
「虹」や「閃光」といった人気曲をはじめ、感情の溢れた音楽たち…
語りかける様な歌やサウンドが、心に強く響きます
おすすめは「ラヴソング」。
幸福感に満ちたイントロに気持ちの昂りが止まらない!
知名度を上げながら、進化を続けてきた彼らのひとつの到達点ともいえる作品です。
6.ジェニーハイ『ジェニーハイ』
6枚目は、近年注目のバンド・ジェニーハイ。
メンバーは、川谷絵音(Gt.)、くっきー!(Bs.)、小藪和豊(Ds.)、新垣隆(Key.)、中嶋イッキュウ(Vo.)。
個性的な5人による超本格派バンドです。
ボーカルのイッキュウさんは、アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』ED曲「カラカラ」の作詞作曲も手掛けていましたよね。
このバンドの魅力といえば、川谷絵音さんが手掛ける洗練された楽曲とそれを演奏するメンバーの絶妙なバランス感。
一人ひとりは個性的ですが、それが合わさると見事なハーモニーが生まれるんですよね。
各人の技量の高さが伺えるハイクオリティーな楽曲群が魅力です。
さて、そんな彼らからは1stEP『ジェニーハイ』を紹介。
他の作品も良いんですけど、これが最も「結束バンド」ファンに刺さるかなぁ、と。
結束バンド…あるいはその根源であるナンバーガールやeastern youthが持つ「焦燥」を、彼ら独自の解釈で落とし込んだ「ジェニーハイのロック」が楽しめる作品となっています。
ジャズやヒップホップの要素を取り入れた川谷ならではのミクスチャー感も楽しめます。
「カラカラ」はもちろん「ひとりぼっち東京」や「ラブソングが歌えない」なんかが好きな人にオススメです。
7.nano.RIPE『星の夜の脈の音の』
7つ目は、ロックバンド・nano.RIPEのメジャー1stアルバム『星の夜の脈の音の』。
nano.RIPEといえば、『食戟のソーマ』『花咲くいろは』『のんのんびより』などなど多数のタイアップ曲を持つアニメファンに人気のバンドですね。
ボーカル・きみコの可愛らしく個性的な歌声と、ギター・ササキジュンの躍動感あるギターサウンドが独自の世界観を作り上げています。
中でも1stアルバムは、彼らのルーツであるスピッツやLOST IN TIMEなどの透明感あるロックの要素が色濃く描かれています。
初期は結構ダークなんですよね。
オススメは代表曲「面影ワープ」。
シンプルなエイトビートに乗せた緻密で疾走感のあるギターが気持ちいい。なんというかnano.RIPEらしい。イントロの高揚感がたまらない!でもアツすぎないのが更に良い!
『花咲くいろは』のOP映像と合わせて聴いて欲しいですね。爽やか~な爽やかロックです。
アニソンバンドとしてのポップさと、ライブバンドとしてのロックな要素が融合した彼らの音楽は、結束バンドにも通じるものがあると思います。
「青春コンプレックス」や「忘れてやらない」辺りが好き!という方にオススメです。
8.ピロカルピン『太陽と月のオアシス』
最後に紹介するのはロックバンド・ピロカルピンのメジャー1stアルバム『太陽と月のオアシス』。
スピッツやアジカン等のギターロックを踏襲しつつも、童話あるいは神話の中にいる様な幻想的な世界観がクセになるバンドです。
文学的な、哲学的なワードセンスが光るフシギな歌詞も魅力的。ピロカルピン・ワールドですね。
こんな紹介の仕方をするとちょっと取っ付きづらい印象を持たれるかもしれませんが、そんなことはありませんよ。
ピロカルピンは独自のサウンドや世界観を追求する一方で、メロディーやアレンジの面では馴染みやすさや王道感を重視したストレートな音楽性になっています。
真っ直ぐな音楽だからこそ、彼らの個性もより伝わってくるのでしょうか。
ポップ・ロックのバランスが心地よい作風です。
とりわけ『太陽と月のオアシス』では、その真っ直ぐさが光る作品になっています。
激しいサウンドはもちろん、ミドルテンポのナンバーも味わい深い。
さらには、3拍子やノリの良いダンスビートなどなど…あらゆるピロカルピン、あらゆるロックが楽しめるアルバム。
『結束バンド』もそのバラエティ豊かな作風が魅力ですよね。
「色んな曲が楽しめるのが好き!!」という方にオススメの作品です。
強いて言えば…「小さな海」でビビッと来た方、是非聴いてみて欲しいです!
最後に
今回紹介した8枚は、私の主観で「結束バンドにハマった人なら、こういうのも気に入ってくれるかもしれない」という期待とともに選んだものです。
なるべく結束バンドの音楽性に近いものを!と考えて選んではいますが、音楽に対する捉え方は人それぞれです。
また、今回紹介した作品以外にも結束バンドのルーツを感じることができるものは沢山あります。
例えば…ナンバーガールとかね。
アジカンの後藤さんも仰っていましたが、彼女たちのルーツは、アジカンというよりかは、更にその先(前)のオルタナティブロックにあると言われています。
(一番わかりやすいのは、「日本 オルタナティブロック 名盤」と調べていただくことかもしれません…)
結局は…自分で色々聴いてみて、好みの音楽を見つけて頂きたいです。
音楽の魅力は、探究することにあります。
たくさんの音楽に出会うことによって、より一層「結束バンド」の良さに気づけるようになるかもしれませんよね。
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