※こちらは2020年7月11日にFANBOXで公開された記事を移植したものです。

 ご存知の方も多いかと思いますが、私はオリジナルの4コマ漫画を描いています。シリーズとしては『SCHMooze!』『楽天少女と厭世少女』『姉貴なんて知らない』がありまして…

 ところがふと思ったわけです。これらの作品についてしっかり(人物の設定や世界観)について紹介したことがなかったなぁ、と。一素人が趣味で描いているしょうもない漫画ですが、実は無駄に凝った設定があったりするんです。例えば、各キャラクターの嫌いな食べ物や小さい頃の将来の夢とか…それどころか、周辺人物の情報(親の職業や、小学生時代の交遊関係など)まで細かくメモ帳に書いていたりします。(勿論、誕生日も決まっていますよ!)
 しかし、そのほとんどが作中でピックアップされたことはなく今後も語られることがないものです…

 さて、ここからが本題です。pixivやTwitterで「うちの子」という言葉を良く耳にしますよね。作者の創作したオリジナルキャラクター(所謂オリキャラ)のことを愛情を込めてこう呼ぶわけです。となると、SCHMooze!の真弓やらくえんの祐香は、私が生み出したキャラクター、「うちの子」ってことですよね。…ところが、私にはどうもそれがピンと来ないといいますか…笑

 何が言いたいかというと、彼女達が住む「サッポロ(便宜上こう表記します)」と私達が住む実世界は違う、ということです。当たり前といえば当たり前のことなんですけどね笑 例えば、阿崎真弓を生んだのは私ではなく、「サッポロ」に確かに存在する阿崎真弓の母親であるはずです。金古彩輝が変なTシャツを着ているのも私が着せたのではなく、彼女がサッポロの服屋で一目惚れをして買ったのです。彼女達には彼女達の生活、物語があるのです。私はサッポロについて描くことは出来ても、サッポロに行くことはできません。

 さてさて、ここから本当の本題に入るわけですが笑

 上記のことに関して私はひとつの悩みを抱えているのです。

 それは、彼女達の設定(という言い方はあまり好きではないですが)を公表するかどうかです。なんとなくお分かりかと思いますが、私は漫画を見せるために描いているのではなく自分が楽しむために描いています(それでも見てくださる方には頭が上がりません)。
 とはいえ、私の作品を面白いと思って見て下さってる方もゼロではないと思っています(願望)。が、誰よりも私の作品を面白いと思っているのは作者である私です。そりゃそうですよ。彼女達のことを一番良く知っているんですから。例えば、(らくえんの)祐香が昔仙台に住んでいたことが『その14』で明かされています。が、なぜ彼女がサッポロに引っ越して来たのかは語られていません。しかし、友人である樹璃はその理由を知っています。
 そして当たり前ですが私も知っています(このことについてはそのうち作品内でも語られるかもしれません)。ここで、1つの懸念があります。それは、私(作者)の意図が読者に伝わりきっていないのでは?ということです。

 もちろん自由な解釈が芸術鑑賞の醍醐味なのですが、私の意図が汲み取れればもっと作品を楽しめると思っています(偉そうなことを言ってスミマセン…)。

 作品をより楽しんでもらうために”設定”を積極的に公開して彼女達の世界に干渉していくか(大袈裟に言えばプライバシーの侵害)、それとも二つの世界にしっかりと線引きをし続けるか…もちろん作品内で少しずつ明らかになっていくのがベスト(私なりの理想)ではあるのですが、時間的にも技量的にも全てを漫画にできるわけではないので…

 こんなどうでも良いことで悩んでいるほど私は平和に過ごしています、という報告でした。