突然ですが…
みなさんは、「いろは歌」というものをご存知でしょうか?

そう、多くの人が一度は目に、耳にしたことがあるであろうこの歌。
全ての「かな」を一度ずつ使って作られた歌のこと!
この「いろは歌」が作られたのは、なんと平安時代!(諸説あり)
今から1000年ほど前の存在なんですね、もはや歴史的な文学作品です。
現代では「あいうえお順」が一般的ですが、
慣習としてこの「いろは歌」も広く使われています。
とてつもないロングヒットだぁ…
しかし、
この「いろは歌」について昔から思っていることがありまして…

結局何が言いたいの?
そもそも難しくてよくわからない…
特に中学高校の「古典」の授業が大のニガテだった私にとって、この「いろは歌」…
「かな」を覚えるための教材としてあまりにもキャッチーさが足りない。
これではまるで初めて日本に来た外国人に対して
「これが日本の伝統の味だよ」と言って、「鮒ずし」を勧めるようなもの。
そう。完全にお節介ながら、
私は過去から続く「いろは歌」という伝統に対し、古臭さと、それに伴う一抹のdisを抱いてしまいました。
これからも長く愛されるために、もっと現代に寄り添った歌にしてあげるべき!(お節介)
思い立ったが吉日。(←こういう言葉は知っている)
さっそくオリジナルの「いろは歌」を作っちゃおう!!
やってみよう!

よーし、作っちゃうぞ!!
…
(10分後)

うーん…
(30分後)

うーん…さては難しいな??
作戦会議
このまま闇雲に考えていても進展が見られそうになかったので、ここで作戦会議をすることに。
いろは歌、奥が深そうだぞ…
①ルールを再確認
そんなわけで、まずは「いろは歌」作りのルールというか、決まり事を再確認。
条件はただひとつ…
全ての「かな」を一度ずつ使う
ということです。
ただひとつ、なんて言っておきながらコレは要するに以下の2つの条件を示しています。

それぞれについて少し考えて作戦を練ってみることに…
まず、“①「かな」を全て使う必要がある”ということについてですが…
コレに関してはただ1つ
「使いづらい文字」をいかにして上手く使えるか
がかなり重要になってきそうです。
「使いづらい文字」というのは、その文字を含む言葉が少ない、というもの。
具体的には「ぬ」とか「む」とか…
これらを含む言葉を軸に文章を考えていかないと、こういった文字が残りに残って
収集がつかなくなってしまうのです。
次に、“②同じ「かな」は二度使えない”について。
実はこっちの条件のほうがキツかったりします。
これは実際にいろは歌づくりに挑戦してみれば実感できるはず。
例えば…
先ほど「使いづらい文字」として挙げた「ぬ」と「む」を両方使おうと
こんなことをやってしまうと…

この②の条件でアウトになってしまいます。

「そんなの当たり前じゃん」と言ってしまえばその通りですが、
このケース…非常によくぶち当たる壁なのです。
これはさすがに大げさな例ですが、
似たような状況に頻繁に出くわすことになります。
…こんな感じで、
いろは歌づくりは、常にこの2つの条件との板挟みの中で行われていきます。
②文字をレーティング
ルール確認の結果として、
「かな」の中には「使いやすい文字」と「使いづらい文字」がある
ということがわかりました。
そこで、考えたのがコチラです。

「かな」の使いやすさTier表(ランキング)です。
Sランクは、「あ」や「い」といった頻出の母音や、「か=が」「に」「は」といった
助詞に使われるものなど。
Aランクは、助詞の「て」「も」や、「す」「た=だ」「な」など動詞、形容動詞の活用語尾など。
BランクとCランクは、完全に感覚で選びました。
この表をもとに、考えていくことにします。
具体的には
S、Aランクの「かな」をいかにセーブしながら、
B、Cランクの「かな」を使ったフレーズを作っていけるか
ということです。
これを考慮しながら試行錯誤を続けていきましょう。
うん。

少し見えてきた気がします。
再挑戦
作戦会議をもとに、再挑戦。
ここからは「根気」と「ひらめき」の世界だ!

挑戦開始から実に10時間。

途中でご飯を食べたりしながら…
ついにその時が!!!
↓ ↓ ↓ ↓
完成した「いろは歌」


血塗り 染められ
紅葉は 色づく

山の尾根 さえ
夕日に 焦げた

ふと 座る
絵本を 読む

風 凪いで 秋へ
いかがでしょうか?

秋の情景を描いたいい感じの歌になったと思います。
細かい話をすると、
「ゐ」とか「ゑ」を正しく使えていない気もするのですが
これ以上考え続けると頭が爆発する!!
と思ったので、これを完成といたします。
うん、かなりいい出来だ。
正直、めっちゃ好き。
「いろは歌」を自作して思ったのは
とにかく達成感が凄い!
正直、あれこれ試行錯誤している時間は非常にしんどいです。
でも、この
「あれ? なんかこの流れ行けそうでは??」
「惜しい!あとちょっと!!」
というハラハラ感は少し楽しかったりも…
「トライ&エラー」の楽しみを知った気がします。
プログラマーってこんな気持ちなのかな…
あとは、日本語の奥深さを知りましたね。
助詞の使い方ひとつで、物語が一転したり
形容詞の順番で印象が変わったり
なんか、「言葉」というものに初めて本気で向き合った気がします。
世の中の歌詞や小説が、全て作者の試行錯誤の末生まれていると考えると
非常に感慨深いですね。
ふと思ったのが、
これ、多分人によってぜんぜん違う物語ができるんだろうな、ということ。
ワードを入れ替えるだけでも、ニュアンスが変わっていくものだし…
結論「大変だけど、すごく楽しい」(←MPゼロ)
みなさんも、是非オリジナルの「いろは歌」を作って
日本語の奥深さを味わってみてはいかがでしょうか?
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