「デザインに興味があるけど、独学だと何をすればいいかわからない…」
「専門学校で学んだ知識で、なにか資格を取りたい」
「楽しく学べて役に立つ資格が欲しい!」
そんな皆さんが、辿り着くのが「色彩検定」です。
この記事を今読んでいるあなたも、そういった思いをお持ちなのではないでしょうか?
今回は実際に「色彩検定2級」に合格した2級色彩コーディネーターの著者が、取得者目線で色彩検定について紹介させていただきます。
そもそも色彩検定って何?
色彩検定とは色に関する幅広い知識や技能を問う検定試験です(『色彩検定協会』公式ホームページより)。
「文部科学省後援」なんてワードが付いていますが、そんなに堅苦しいものではありません。というか、怪しい団体でもない限りわりとあっさり「後援」してくれるなんて話も聞いたことがあります…
もう少し詳しく説明すると…
色彩検定は「色彩検定協会」が主催する、30年以上の歴史を持つ由緒正しき検定です。
検定には1~3級、UC級の4種類があり、それぞれ学習内容や難易度が異なりますが、どれも「色彩」に関する知識が広く身に付けられるという点では大きな違いはありません。
また、検定に合格することで「色彩コーディネーター」の称号が得られます。
どんな問題が出るの?
色彩検定はその名の通り「色彩」に関して幅広い知識が問われます。
前身がファッション系の検定だったこともあり、ファッションに関する問題が出題されたりもしますが、インテリアやまちづくりといった住環境における色彩の知識が問われたり、目の仕組みや視細胞の役割についてといった科学的な問題も出題されます。本当に幅広いです。
以下、ざっくりとした出題ジャンル(2級/2021年)です。
・表色系について …いわゆるカラーツリーとかそういう話
・色の名前 …聞いたこともない色の名前がズラリ
・光の性質、視覚について …科学的な話、物理とか生物でやったなぁ
・色の知覚的効果 …いわゆる「目の錯覚」のお話
・配色について …配色技法や色の調和、わりと実践的
・ユニバーサルデザイン …見やすい色づかいとか、色覚特性のお話
・ビジュアルデザイン …Webデザインとか、印刷とか、デジタルな話
・ファッションについて …ファッションコーディネートのお話、楽しい
・インテリアについて …インテリアコーディネートのお話、楽しい
・景観について …まちづくりと色の関連性のお話、そこそこ楽しい
だいたいこんな感じです。
ちなみに「UC級」はユニバーサルデザインに関する問題が中心となっています。
公式ホームページにも各級の出題例が掲載されています。気になる方はそちらもチェック!
どんな人におすすめ?
ファッションやWebデザインなどの、デザインについて学びたい方、そういった職業に就きたいと考えている方、実際に働いている方はもちろんですが…
色づかいが上手くなりたい!とお考えの絵描きさんであったり、オシャレな部屋に模様替えしたい!なんて方にもお勧めです。
そういった方は「気になる分野だけまずは勉強してみて、検定を受けてみたくなったら全範囲勉強をする」といったアプローチが良いと思います。気軽に取り掛かれるのもこの検定の魅力です。
そんなに難しい試験ではない(1級以外は)ので、なにか履歴書に書くものが欲しいという方にもお勧めですよ! 実務には関係がないとしても、面接なんかで「色彩検定ってどんな試験?」と良い話のネタになるかもしれません。
色彩検定って難しいの?
上述の説明を見て、実際に受けてみたいと思った皆さま。
ここからは受験に関する情報をお伝えしていきます。
まずは、色彩検定の試験方法についてです。
1~3、UC級に共通してマークシート(+ちょっと記述)による筆記試験があります。
こちらは、どの級も70%の正答率が合否の目安となっています。
4択問題が中心で7割… 合格の基準はそこまで高くはありませんね。
(※そのぶんシビアな選択問題が出されたりもしますが…)
そして、1級では1次試験に加えて、記述&実技の2次試験が行われます。
公式HPに例題が掲載されているのでこちらを参考にしてみるとよいでしょう。高い実践力が必要となってきますね…
次に、各級の受験者数と合格率についてです。
色彩検定協会によると、2020年度は、
UC級:受験者2226人、合格率87.3%
3級:受験者22498人、合格率76.3%
2級:受験者9466人、合格率77.6%
1級:受験者1426人、合格率45.0%
となっているそうです。
基礎を学ぶ3級の受験者がやはり一番多いですね。とはいえ3級を飛ばして2級から受ける~という方も少なくないと思います(私もそうでした)。
そして、気になる合格率ですが…
UC級、3級、2級はそれぞれ7割以上の方が合格しています。
中には「当日行けなかった…」みたいな方もいらっしゃると思うので、
これら3つに関しては、しっかり勉強すれば良い結果が望めると考えて頂いて問題ないと思います。
※受験に関しての注意事項については後ほど…
一方、1級は受験者数、合格率ともに低めとなっていますね。
1級は「プロフェッショナル向け」となっているため、趣味として勉強するにはちょっと難しいのかもしれません…
逆に言えば「1級合格」は努力の証ですね! 自信のある方は受験してみるとよいと思います。
どうやって勉強するべき?独学でもOK?
それでは、ここからは実際の受験とその勉強方法について少し…
色彩検定を受験する上で最も注意すべきなのが「受験の開催日」です。
なんと、年間3万人以上の受験者がいるにもかかわらず、検定は年に2回しかありません(2022現在)。
その2回というのが、夏期(6月)と冬期(11月)です。
例えば、「色彩検定受けてみよう!」と思ったのが10月だった場合…
1か月後に受けるか、8か月後に受けるかの選択を迫られます。
また、受験日から逆算した計画的な勉強が必要になってきます。サボり癖がある人は注意しましょ!
しっかりと準備をして臨めば合格の可能性は高まる試験なので、悔いの残らないようしっかり取り組みましょう。
では、どのような受験勉強が必要になってくるかといいますと…
例えばデザイン系の専門学生の方は、授業などである程度の知識が身につくことかと思います。
とはいえ多くの方は…やはり「独学」での受験になるのではないでしょうか?
独学で進めていく場合、最もオーソドックスで効果的なのは…
色彩検定の公式テキストと問題集をやりこむことです!!
なぜなら、基本的に公式テキストが扱う範囲からしか出題されないからです。
この方法の良いところがもう一つ。
テキストの図や写真がそのまま試験に出ることが期待できる点です。
同じ内容でも図が異なると一気に難易度が上がって感じられます(経験談)。知っていることを訊かれているのに感覚的に「ナニコレ知らない!」と思ってしまったり…
そういった点でも公式の教材は安心かもしれません。
次にオススメなのが、市販の教材を買う方法です。
公式テキストを買わずとも本屋さんに行けば色彩検定の本がいくつか並んでいたりしますよ。
しかも、ほとんどの場合が公式よりも、安い。
少しでも安く抑えたい方にはオススメです。
ただし、こちらの方法にはひとつ重大な欠点があります。
それは…「すべての出題範囲がカバーできるとは限らない」ということです。
どういうことかというと、検定にはその年から新規で追加される問題が存在したりしているので、既存データを参考にした市販のテキストだと情報が拾いきれていない可能性があるんですよね。
市販の非公式テキストで勉強する場合は「出題範囲の9割しか抑えていない」くらいの緊張感を持つのが良いと思います。
逆に言えば、テキストの内容をしっかり覚えれば満点はとれなくとも9割くらいは答えられるということでもあります。
そして、もう一つの方法が「講座」を受ける、です。
調べてみるとたくさんの講座が存在していることがわかると思います。協会公式の講座もありますね!
実践的な知識を身に付けたい!という方にはオススメの方法ですが、ただ検定に合格したいとか、空いた時間で気軽に勉強したいという方にはあまりオススメしません、というか必要ないと思います。
お金もかかったりしますからね。ただでさえ受験料が高いのに…
コチラの記事でも紹介しています。
飛び級受験時の注意
先ほども書いたように「3級を飛ばして2級から受けたい!」みたいな方もいらっしゃると思います。
実は私も3級を受けずに2級を受験しました。
結論から言ってしまうと、いきなり2級の合格を目指すというのは全く不可能ではありません。
ただ、少し注意が必要です。
2級の試験では3級の出題範囲が問われることがあります。
具体的には…
色の名前を表現するときに、3級では「PCCS」というものを用いるのですが、2級では「マンセル表色系」を用います。
これだけ言っても多くの方はピンと来ないと思いますが、どういうことかというと…
PCCSの「2:R」と、マンセル表色系の「4R」はだいたい同じ色(赤っぽいの)を表しています。
この変換ができるかどうかがひとつのポイントとなってくるかと思います。
ようするに、2級から受けるとはいえ3級の知識も多少は頭に入れておいた方が安心ですよ、ということです。本番で出なかったとしても知識は多い方が得です。
余談ですがこれは他の検定でも言えることだったりします。漢検2級を受けたとき、準2級の漢字が書けず苦労した記憶があります。
飛び級受験をお考えの方は以上のことに気をつけましょう!
2級と3級が一緒になったテキストもありますよ~
ところでいきなり1級を受けるなんて方も、いらっしゃるのでしょうか…?
まとめ…のようなもの
今回は、「色彩検定」についてご紹介いたしました。
内容をまとめると…こうです!
- 色彩検定では 色に関する幅広い知識が問われる!
- デザイナーはもちろん 事前知識がなくても取り掛かりやすい!
- 合格率は決して低くない 誰にでも合格のチャンスが!
- 勉強方法は公式テキストが一番安心!
- いきなり2級を受けるのもアリ!※ただし注意が必要
色彩検定は勉強さえすれば、受験者全員に合格のチャンスがあると思っています(当たり前といえば当たり前)。
身近な生活にも役立つ(?)資格なので、ぜひぜひ!
…活かせるかどうかは自分次第です
受験を検討している方も、この記事を読んで受けてみたいと思った方も、まずは公式HPで情報をご確認くださいね。
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